【2020Q4決算】半導体後工程受託製造の世界最大手《日月光投控(ASE Technology Holding)》
2/5にASEの2020Q4決算がありましたので、決算資料の中身を一緒に見ていこうと思います。
更新履歴
- 2022年4月23日:サムネイル更新
- 2021年7月24日:タグ更新
- 半導体後工程受託製造の世界最大手
- 2020年第4四半期決算
- 日月光投控(ASE Technology Holding)業績:四半期
- 日月光投控(ASE Technology Holding)業績:年度
- まとめ
半導体後工程受託製造の世界最大手
基本情報
半導体後工程受託製造の世界最大手ASEの基本情報については過去記事をどうぞ。
ADRで取引可能であることもポイントです。
米国株投資家に朗報ですね。
ちな、$ASXな。
先に株価見ておきましょうか。1年チャートです。
株価チャート
台湾市場
米国市場(ADR)
直近の2月の上昇率を見るとわかるかと思いますが、本国(台湾)とADRでギャップがあります。これは現在台湾の証券取引所が春節で休場なのが関係しています。
ほんとそれですよ〜_:(´ཀ`」 ∠):
ここ数日ADRが爆上げなのに台湾は休場なのでたいかぶの資産は増えていません_:(´ཀ`」 ∠):
$TSM も $ASX もADRが上場来最高値更新ですわ pic.twitter.com/iH7WKTZz0c
— たいかぶ@🇹🇼台湾株投資 (@taikabu0) February 11, 2021
2020年第4四半期決算
ではさっそく2020Q4の決算を見ていきましょう。
決算資料はこちらからダウンロード可能です。
読み進めるに当たっての注意点として
- EPSは「Diluted EPS」を指します。
- 台湾ドル表記だと読者が直感的に規模感をイメージすることができないため日本円換算して表記している箇所があります。全て1TWD≒3.74JPYで計算しています。
スライド3~4:連結財務諸表(四半期・年度)
連結財務諸表(四半期)
2020Q4 | QoQ | YoY | ||
---|---|---|---|---|
売上高 | 1,489億TWD (約5,570億円) |
100% | +21% | +28% |
粗利益 | 233億TWD (約870億円) |
15.7% | +18% | +17% |
営業利益 | 112億TWD (約420億円) |
7.6% | +23% | +29% |
EPS | 2.30TWD | +49% | +56% |
- 増収増益
- QoQ、YoY共に+20 ~ 30%前後
- EPSはQoQ、YoY共に+50%前後
連結財務諸表(年度)
2020 | YoY | ||
---|---|---|---|
売上高 | 4,770億TWD (約17,840億円) |
100% | +15% |
粗利益 | 780億TWD (約2,900億円) |
16.3% | +21% |
営業利益 | 349億TWD (約1,300億円) |
7.3% | +48% |
EPS | 6.31TWD | +63% |
- 2020年全体で見ても増収増益
- 営業利益はYoYで+48%
- EPSはYoYで+63%
決算資料の連結財務諸表をもとに、売上高/売上原価/営業費用/営業利益を損益計算書にまとめました。
損益計算書(四半期)
損益計算書(年度)
【グラフの見方】
各社各年度の売上高(■)を100%として、売上原価(■)・研究開発費(■)・販売費及び一般管理費(■)・営業利益(■)が売上高に占める割合を表しています。又、各項目の数値はその項目の収入(もしくは費用)の絶対値です。
グラフ化した方が直感的にわかりやすいですね。
ASEは大きく
- ATM (Assembly, Testing and Material)
- EMS (Electronics Manufacturing Services)
の2つの事業に分けられます。以降は各事業の決算内容に移ります。
スライド5~6:ATM事業の財務諸表(四半期・年度)
財務諸表(四半期)
2020Q4 | QoQ | YoY | ||
---|---|---|---|---|
売上高 | 728億TWD (約2,700億円) |
100% | +1% | +5% |
粗利益 | 165億TWD (約600億円) |
22.6% | +13% | +5% |
営業利益 | 80億TWD (約300億円) |
11.0% | +18% | +9% |
財務諸表(年度)
2020 | YoY | ||
---|---|---|---|
売上高 | 2,803億TWD (約10,500億円) |
100% | +12% |
粗利益 | 594億TWD (約2,200億円) |
21.2% | +19% |
営業利益 | 276億TWD (約1,000億円) |
9.8% | +45% |
スライド7:ATM事業の営業利益推移
- 売上高、営業利益率共に右肩上がり
スライド8:ATM事業のアプリケーション別売上占有率
- 通信向けが過半数を占め、次に車載/コンシューマー向け、そしてコンピューティングの順
- 直近2年間でアプリケーション別売上割合に大きな変化はなし
スライド9:ATM事業のタイプ別売上占有率
- アセンブリの売上高比率が高く全体の約8割を占める
- アセンブリの中でもワイヤー・ボンディングとBump / FC(Flip Chip) / WLP (Wafer Level Packaging) / SiP (System in a Package)が大きい割合を占めている
- こちらも直近2年間で大きな変化はなし
軽く言葉だけで説明しておくと、
ワイヤー・ボンディング:半導体チップのアルミ電極とリード電極を接続する線をボンディングワイヤと言い、このボンディングワイヤを接続する方法のこと
FC (Flip Chip):ワイヤ・ボンディングのようにワイヤに使用して接続する方法ではなく、バンプによって接続する方法。
WLP (Wafer Level Packaging):ウエハの状態でパッケージングを行い、最終的に切断してパッケージングする技術のこと
SiP (System in Package):複数の半導体チップやはんだ付け部品を一つのパッケージ内に収めたパッケージのこと
なんとなくわかったようなわかっていないような( ͡° ͜ʖ ͡°)
言葉だけの説明だとイメージしづらいですよね。いずれ技術的な内容の記事も作ってみようと思います。
スライド10:EMS事業の財務諸表(四半期・年度)
財務諸表(四半期)
2020Q4 | QoQ | YoY | ||
---|---|---|---|---|
売上高 | 791億TWD (約3,000億円) |
100% | +49% | +62% |
粗利益 | 70億TWD (約260億円) |
8.8% | +36% | +62% |
営業利益 | 35億TWD (約130億円) |
4.4% | +49% | +123% |
財務諸表(年度)
2020 | YoY | ||
---|---|---|---|
売上高 | 2,047億TWD (約7,700億円) |
100% | +23% |
粗利益 | 189億TWD (約700億円) |
9.2% | +29% |
営業利益 | 78億TWD (約300億円) |
3.8% | +59% |
スライド11:EMS事業のアプリケーション別売上占有率
スライド12:貸借対照表
- 資産:5,839億TWD(日本円で約21,900億円)
- 負債:3,496億TWD(日本円で約13,100億円)
- 純資産:2,343億TWD(日本円で約8,800億円)
スライド13:設備投資 vs EBITDA
スライド14:2020年のビジネス振り返り
全体
- ATM事業の回復
- キャパは依然としてタイト
- ワイヤー・ボンディングは2021年通してショーテージ(予測)
設備投資
- 2020年:17億USD
- 2021年:2020年を上回る
SiPビジネス
- YoYで+50%成長
- 目標の1億USDに対して3.86億USDに増収だった
- 2021年も引き続きプラス成長
スライド15:2021年のビジネス見通し
グループ全体
- 売上高:2021Q1においても引き続き増収
- 営業利益率:改善を図る(1.5 ~ 2ポイントアップを目標)
- ロジックIC市場における2021年の成長率は+5 ~ 10%
ATM事業
- 2020Q4同様に強い
- 年成長率:ロジックIC市場の成長率の2倍予測(USドル建て)
EMS事業
- 年成長率:ATM事業よりも高い成長率予測
- 営業利益率:4%目標
スライド16:財務のハイライト
営業費用・利益
- 2020年の営業費用比率:9.0%(目標の9.4%より良)
- 2021年の営業費用比率:2020年同様を目標としている
- 2020年の営業利益率:7.3%(目標より良)
- 為替の影響を考慮しない場合の営業利益率は9.2%であった(2019年と比べて3.5ポイントアップ)
- 2021年の営業利益率:2020年と比べて1.5 ~ 2ポイントの改善を図る
設備投資
- 2021年の設備投資費用:良好なビジネス環境により設備投資費を上げる
配当
- 1株あたりの現金配当を3TWDから4TWDを超えない範囲で上げる
増配キターーーーーーーー
ちなみに2019年度(2020年振込)の配当金は2TWDでした。
スライド17:2021年第1四半期見通し
ATM事業
- 売上高(USドル建て):2020Q4と同等
- 粗利益率:2020Q4と同等
EMS事業
- 売上高(USドル建て):2020Q3と同等
- 営業利益率:2020年より若干下がる
では以上を踏まえて、前回記事を更新した推移グラフを載せていきます。
日月光投控(ASE Technology Holding)業績:四半期
売上高・営業利益
粗利益率・営業利益率
EPS
日月光投控(ASE Technology Holding)業績:年度
売上高・営業利益
粗利益率・営業利益率
EPS
まとめ
- 2020Q4の売上高は前期比+21%、前年同期比+28%
- 2020年全体の売上高は前年比+15%、更に営業利益は前年比+48%
- 2021Q1も引き続き増収予測
- 事業ごとに見ると
- ATM事業の2021Q1売上高(USドル建て)は2020Q4と同等
- EMS事業の2021Q1売上高(USドル建て)は2020Q3と同等
では、この辺で。
拜拜~