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【2021Q1決算】モバイル向けSoC出荷数世界No.1《MediaTek(聯發科)》

2020年第3四半期にて四半期だけではありますがモバイル向けSoC最大手Qualcomm($QCOM)のシェアを初めて上回ったMediaTekは、この勢いそのままに2020年全体でもQualcommを上回って出荷数シェア世界No.1に初めて輝きました。

 

MediaTekの勢いはどこまで続くのか?そしてこの勢いは本物なのか?

ということで、2021年の行く末を決めると言っても過言ではない第1四半期の決算をまとめました。

 

更新履歴

  • 2022年4月23日:サムネイル更新
  • 2021年7月24日:タグ更新

 

 

モバイル向けSoC世界シェア

まずは直近のモバイル向けSoCの世界シェアを振り返っていきます。

以下、たいかぶが以前ツイートしたものです。

2020年第3四半期

2020年全体

2021年は?

 

2021年第1四半期決算

では、2021年の行く末を決めると言っても過言ではない第1四半期の決算を見ていきましょう。

決算資料はこちらからダウンロード可能です。

 

連結財務諸表

  2021Q1 QoQ YoY
売上高 1,080億TWD
(約4,200億円)
100% +12.1% +77.5%
粗利益 485億TWD
(約1,900億円)
44.9% +13.2% +84.9%
営業利益 202億TWD
(約800億円)
18.7% +31.4% +248.1%
EPS 16.21TWD   +73.4% +345.3%

 

皆さんに各社の規模感を直感的にイメージしていただくために、括弧内に日本円換算値を記載しました。1TWD=3.906JPYで計算しています。以降、全てこのレートに従います。

 

  • 売上高・粗利益共に前期比+12 ~ 13%
  • 売上高:前年同期比+78%
  • 粗利益:前年同期比+85%
  • 営業利益:前期比+31%、前年同期比約3.5倍
  • EPS:前期比約1.7倍前年同期比約4.5倍

 

製品別売上高占有率

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  2021Q1 QoQ YoY
Mobile
Phone
583億TWD
(約2,300億円)
54% +32% +149%
IoT,
Computing
and ASIC
238億TWD
(約930億円)
22% -4% +60%
Smart
Home
173億TWD
(約680億円)
16% +5% +42%
Power IC 76億TWD
(約300億円)
7% +3% +47%
Others 10億TWD
(約40億円)
1% - -
  1,080億TWD 100% +12 +78

 

各プロダクトについて、CEOの見解を以下にまとめました。

 

CEOコメント

以下、カンファレンスコールでのCEOのコメントをまとめたものです。

 

Mobile Phone
  • 非常に強い需要の恩恵を受け、売上高の約半分を占めた
  • 5G対応のハイエンドスマホ向けシェア拡大により大幅成長を達成(QoQ+32%, YoY+149%)
  • 2021年の5G対応スマホ世界出荷数を5億台と見込む(MediaTekの出荷数ではなく、世界全体(Qualcommやその他を含んだ)の出荷数を指します)
  • 2021Q1にローンチしたハイエンド5G向けの"Dimensity 1200"の出荷数はQ2以降も引き続き増加
  • 北米・欧州市場開拓は引き続き継続。2021年は同市場の成長を期待
  • 最先端プロセスとハイパフォーマンスを実現する設計によりフラグシップ機向けICのシェア拡大も狙う

 

ちなみに2020年の世界全体のスマホ生産台数は12億5,000万台で、この中で5G対応スマホは2億4,000万台とのことです。

MediaTek CEOによると、2021年は5億台を見込むということで、倍の成長です。

 

IoT, Computing and ASIC
  • WiFi 6搭載のルーター、ブロードバンド、Chromebook等の需要拡大により、前年同期比+60%の大幅なプラス成長を達成
  • 一方、前期比では-4%であるが、これはコンシューマー向け電気機器の季節性による需要の影響を受けたもの
  • 2021年、同社のWiFi向け通信IC出荷数の15%をWiFi 6向けが占めると予測
  • ASICビジネス主力のネットワーク用スイッチ/ルーターICとAIのアクセラレーター(雑に言えば計算アシストIC)はQ2以降も順調に成長

 

Smart Home
  • 世界的に強い地位を確立している同社のSmart Homeセグメント
  • TV需要の回復により前年同期比+42%成長、前期比で+5%成長
  • 目先にUEFA欧州選手権(6月)と東京オリンピック(7月)のビッグスポーツイベントを控えており、今後も需要は強い
  • また巣ごもり需要によるTVの(機能的)アップグレードの恩恵も受けている

 

Power IC
  • Power ICはスタンドアローンビジネスだけでなく、自社製品にも広く採用され利益をもたらしている
  • 同社のPower ICビジネスは今年10億USD(1,000億円)を超えると予想し、これは他の会社より大きな成長率になると期待

 

2021年第2四半期見通し

  • 上記主要4製品、全て引き続きプラス成長
  • 売上高:今期(2021Q1)比+10 ~ 18%で、1,188 ~ 1,275億TWD。前年同期比+76 ~ 89%
  • 為替レート1USD = 28.2TWDを想定したガイダンス
  • 粗利益率:45% ±1.5
  • 営業利益率:23% ±2

 

2021Q1の営業利益率が18.7%なのですが、これより5pt増の23% ±2予測はすごいですね。

 

CEOコメント(その他)

2021Q1振り返りとQ2ガイダンス発表後に、配当金についても言及されていました。

以下、CEOコメントです。

  • 配当金のポリシーを変更
  • 将来的に配当性向を80 ~ 85%まで引き上げることを役員メンバーで承認した
  • 今後4年間で特別配当金として総額1,000億TWD(日本円で約3,900億円)発行
  • 目的は(1)バランスシート強化(2)長期ホルダーへの還元
  • 株主は2021 ~ 2024年までの4年間、毎年16TWDの特別配当金を受け取れる
  • 通常の配当金はこれまで通り存在
  • 配当金を増やしたとしても、これまで通りR&Dへの投資はアグレッシブに行い、さらにM&A資金にといても問題はない

 

 

  • 2021年のトータル配当金は、37TWD = 21TWD(通常配当金) + 16TWD(特別配当金)

 

台湾株は1単元=1,000株ですので、単元数を保有している株主と今年の配当金が37,000TWD(日本円で約14万5千円)です。

 

やば。。。。。
MediaTek本気やん。。。。

 

と言っても、これでも現在の株価1,1185TWD(4月29日終値)から考えると配当利回り3.1%です。

 

さらに、2020年の配当金(ここでいう通常配当金)は10.5TWDでした。配当回りは1.86%です。中期で見ても配当利回りは減少傾向にありました。

素直に考えると株主還元ですね。素晴らしいですよね。

 

ついでに配当性向に関していうと、2020年の配当性向は71%でした。ここ10年間で見ても、配当性向は60%後半 ~ 70%前半でした。

 

どうみてもグロース株ですし、もともと配当利回りは高くないのでここの株をインカムゲイン目当てで買う方は少ないかと思いますが、こういうサプライズに対してホルダーとしては嬉しいですよね。

 

それと、R&Dへの投資も今後も引き続きアグレシッブに行うと言っているので安心ですかね。

 

直近3年間(2018 ~ 2021年)の業績推移(四半期毎)

次に、前述した2021年第1四半期の業績を追加した直近3年間の四半期毎業績を載せておきます。

売上高・営業利益

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粗利益率・営業利益率

f:id:yu-money:20210501232554p:plain

EPS

f:id:yu-money:20210501232549p:plain

 

  • 利益率がヒタヒタ上がってきているの良き
  • Huawei規制の影響を受けてか2020Q2からの増収増益がえぐい(語彙力)

 

株価

現在、4月29日終値で1,185TWDです。

28日にQ1決算があって、後日29日は寄り付きなしのストップ高でした。

 

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台湾株は1単元=1,000株ですので、単元最低投資額は118.5万TWD(日本円で約463万円)です。

 

立派な値嵩株です(笑)

たいかぶみたいな弱小投資家は単元未満株でチマチマ購入していくしかないです、、、、

 

以下、MediaTekの年初来/1年チャートです。

年初来チャート(日足)

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1年チャート(日足)

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年初来/1年/3年リターン

以下、4月29日時点の年初来/1年/3年リターンです。

  • 年初来:+58.6%
  • 1年:+198%
  • 3年:+301%

― Goodinfo! より

 

数ある半導体銘柄の中でも最も勢いのある銘柄の一つと言っても過言ではないと思います。

 

米国の主要半導体株の年初来リターンを見ると、

  • Applied Materials($AMAT):+61.25%
  • Brooks Automation($BRKS):+41.23%
  • Lam Research($LRCX):+40.51%

あたりがハイパフォーマンスです。ビジネス業態は違えど、MediaTekはApplied Materialsと張りあうリターン率です。

 

以下、SOX構成銘柄の2021年前半のパフォーマンスをまとめた記事です。

yu-money.hatenablog.com

 

まとめ

  • 2021Q1は増収増益(前年同期比で見ると大幅な増収増益)
  • 売上高:前期比+12%、前年同期比+78%
  • 粗利益:前期比+12%、前年同期比+85%
  • 営業利益:前期比+31%、前年同期比約3.5倍
  • EPS:前期比約1.7倍、前年同期比約4.5倍
  • 2021Q2は2021Q1比で+10 ~ 18%予測
  • 特別配当金の支給決定
  • 2021年のトータル配当金は37TWD = 21TWD(通常配当金) + 16TWD(特別配当金)
  • 株価の年初来リターンは+58.6%

 

では、この辺で。

拜拜~