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Investing in High-Tech

【2022Q2決算】半導体セクター注目ポイント

今週木曜7/14の半導体ファウンドリ最大手TSMC(TWSE: 2330、NYSE: TSM)の第2四半期決算に始まり、7/20にASML(NASDAQ: ASML)、Texas Instruments(NASDAQ: TXN)と半導体企業の4 ~ 6月第2四半期決算シーズンに入っていきます。

 

今回は半導体セクターの第2四半期決算注目ポイントについてまとめました。

 

 

Micron FQ3決算振り返り

先日行われた半導体メモリ大手Micron(NASDAQ: MU)のFQ3(3 ~ 5月期)決算は

  • 売上高 QoQ +11% / YoY +16%
  • 営業利益 QoQ +18% / YoY +67%

と前期比、前年同期比ともに増収増益となりました。

 

サーバー / データセンター / PC / スマホの成長鈍化

ビジネス別に振り返ると

  • 自動車 / 産業機械 / SSDは高い売上高成長率を維持(YoY +30%前後)
  • サーバー / データセンター / PC / スマホは成長率鈍化
  • 特にスマホ向けメモリ事業は前年同期比マイナス

となり、決して良い決算とは言い難い結果となりました。

 

Micronの稼ぎ頭はサーバー、データセンター及びPCで構成するコンピュート&ネットワーキング事業とスマホをメインとするモバイル事業であり、Micron全体の売上高のそれぞれ45%、25%を占めております。

合計で70%を占めるこの2事業の売上高成長鈍化の影響は大きいものとなります。

 

データセンターやコンシューマ製品需要低下に対応して出荷削減

FQ4のガイダンスは前期比、前年同期比ともに減収減益の見込みとなっております。

 

中国での個人消費の弱さとデータセンター顧客側での経済の行き先不安感から、DRAM及びNANDの出荷調整の方針が出されました。

 

データセンター需要は依然として好調ではありますが、半導体以外の物不足による半導体余りが懸念されます。

 

自動車及び産業機械向けは引き続き強いようです。

 

ポイント①: メモリ以外の半導体デバイス需給

台湾の証券取引所に上場している企業は通年、半期、四半期毎の財務報告に加えて、月次の運営状況開示が規定されております。

 

ということで四半期決算よりも前に四半期売上高の算出が可能となります。

 

以下に主要な台湾半導体企業の前四半期(第1四半期)と第2四半期の売上高と売上高成長率をまとめました。

 

主要な台湾半導体企業の第2四半期売上高及び売上高成長率

 

主要な台湾半導体企業の第1四半期売上高及び売上高成長率

 

第1四半期では一部の企業を除き、概ね前年同期比30%後半 ~ 40%の売上高成長率を達成していたわけですが、第2四半期では明暗の分かれる結果となりました。

 

もちろん売上高成長率だけで企業業績の良し悪しを語るには材料が乏しく決算内容の精査は必須でありますので、これまで同様に重要な決算については本サイトにてまとめていきます。

 

上記表の注目ポイントは

  • コンシューマ製品需要鈍化
  • データーセンターが引っ張るチップレット需要
  • コンシューマ鈍化と好調な自動車・データセンターの狭間で揺れるファウンドリ

 

コンシューマ製品需要鈍化

MediaTek、RealTek、NovaTek、Phisonの大手ファブレスICデザインハウスの前年同期比売上高は大きく鈍化しました。

DDI(ディスプレイドライバIC)のNovaTekは前年同期比マイナス成長。

 

ただコンシューマ製品需要鈍化に関しては第1四半期より指摘されておりますので特にサプライズ感はありません。

ロシアウクライナの戦争行く先は未だに不透明であり、かつ景気後退懸念も重なってしばらくの消費冷え込み覚悟は必要かと思われます。

 

  • 今後のコンシューマ製品需要動向
  • 製造量の調整

 

ここら辺が注目ポイントになってくるかと思われます。

 

データーセンターが引っ張るチップレット需要

データセンター需要は2022年通年で強いとしながらも、メモリとその他で状況は異なりそうです。

 

私の印象は

  • メモリ・ストレージ: 足りてる
  • CPU・GPU: 引き合い強いが不足感はない
  • ネットワーク: 供給不足

の通りです。

(ぶっちゃけメモリはいつの時代も足りてます笑)

 

データセンター向け半導体に用いられる

  • チップレット技術: GUC YoY +63%
  • 先端パッケージング向け基板: Unimicron YoY +48%

の決算には注目しております。

 

コンシューマ鈍化と好調な自動車・データセンターの狭間で揺れるファウンドリ

ポイント③にて後述。

 

ポイント②: 在庫

決算カンファレンスコールを聞いていると

  • チップ在庫→増加傾向
  • ウエハ在庫→減少傾向(ロジックは過去最低水準)

の印象を受けます。

 

現状のシリコンウエハ需給に関しては

  • 200mmウエハ: 供給量頭打ちで需要に全く追いつかない
  • 300mmウエハ: 各社のブラウンフィールド投資による追加増産能力も既に頭打ちを示唆

の状況です。

グリーンフィールド投資による増産能力の大幅向上は少なくとも2023年以降になっておりますが、ここにきてサプライチェーンの制約やロジスティクス懸念による設備投資計画の遅延が浮上してきており、シリコンウエハ不足解消は一筋縄ではいかないと考えております。

 

以上をまとめると、シリコンウエハの現状需給は「需要 ≫≫≫≫ 供給」のようになっており、例え需要が鈍化しても「需要 ≧ 供給」で落ち着くと予想しております。シリコンウエハの過剰供給については個人的には心配しておりません。

 

シリコンウエハ大手2社の第1四半期決算は以下記事にてまとめております。

 

taikabu.com

 

一方、半導体チップに関しては顧客側での在庫積み上げ懸念が浮上しております。

(前述したMicronだけでなく、Samsungも同様の旨を明かす。)

 

この2社はIDMで自社設計・製造ですがファブレス企業も同様の状況であると考えるのが普通ですので、そうなってくるとファウンドリへのしわ寄せが危惧されます。

 

ポイント③: ファウンドリは舵取りの難しい局面

前述の表の通り、ファウンドリ大手2社TSMC、UMCの第2四半期売上高は前年同期比40%増となりました。

PC・スマホ出荷量鈍化、その他様々なサプライチェーン問題に直面している中で非常に素晴らしい売上高だと思います。

 

間違いなく今年の半導体業界全体の成長を牽引しているファウンドリ市場ですが、前述の通り在庫調整の影響をどれぐらい受けるのか決算で注視必要だと思います。

 

まとめ

今回は簡単に半導体セクターの第2四半期決算注目ポイントについてまとめました。

 

  • メモリは今後出荷削減が実施される
  • チップレットはデーターセンターが牽引
  • チップ在庫 → 積み上げ傾向
  • ウエハ在庫 → ひたすら足りない状況
  • ファウンドリの第2四半期売上高成長は素晴らしい
  • 製造装置の納期遅れ、チップの需要低下ぎ齎すファウンドリへのしわ寄せ懸念

 

では、この辺で。

拜拜~

【資産運用報告】【2022年6月】

どもども、たいかぶ(@taikabu0)です。

 

皆さん元気でやってますか?

 

今年の上半期はS&P500種株価指数の1 ~ 6月騰落率が-20%となり、1970年以来の最悪のパフォーマンスとなりました。

 

半世紀ぶりの大幅安です

 

現在の市場参加者の関心事は

  • インフレの高止まり
  • FRB(米連邦準備理事会)の引き締めによる景気後退

であります。下半期が始まりましたが、上半期のこの有様を見て下半期の株式市場においても期待していない方が多いのではないかと思います。

 

私の運用資産はと言いますと、大幅円安のおかげ(?)か年初比で資産増加となっております。ただ台湾ドルで見ると年初比で資産減少となっておりますので何とも言えない感情です。さらに保有銘柄はほとんどが含み損状態となっております。

 

爆損キメてます( ^ω^ )

 

では6月の資産運用報告やっていきます。

 

 

運用成績

資産運用額

以下、6月末時点での台湾ドル建て株式資産の資産運用額と年初・前月・前年比、及び評価損益額・率です。

 

資産運用額
(6月末時点)
3,276,581
(約1,496万円)
評価損益
(6月末時点)
-451,682
(約-206万円)
-12.12%
(-12.12%)
資産運用額
(年初)
3,313,675
(約1,375万円)
年初比 -37,094
(約+121万円)
-1.1%
(+8.8%)
前月比 -570,363
(約-211万円)
-14.8%
(-12.4%)
前年比 +782,430
(約+507万円)
+31.4%
(+51.3%)

単位: NT$(括弧は日本円換算)

6月の為替レート: NT$1 = 4.564JPY

 

運用資産推移(年初来)

以下、年初来の運用資産推移です。台湾ドル建て株式資産のみとなります。円建ての日本株式資産は含みません。現金も同様。

 

運用資産推移(日本円換算)

 

運用資産推移(台湾ドル換算)

 

 

【グラフの見方】
含み益の場合:
資産 = 元本 () + 含み益 ()

含み損の場合:
資産 = 元本 () - 含み損 ()

 

 

6月末時点の運用資産は、元本1,702万円()から含み損の206万円()を差し引いた1,496万円でした。

 

日本円換算で運用資産増減を見ると

  • 前月比-12.4%(211万円減)
  • 年初比+8.8%(121万円増)

でした。

 

継続的な入金を行なっているので元本 () は基本的に緩やかに増えていっていますが、含み益は年初以降ずるずる減っていき、4月で含み損に転落しました。6月に株式市場が大きく下落し、含み損は200万円となりました。

 

年初から400万円近く入金しているにもかかわらず、株式資産は100万円ちょいしか増えておりません。

円安効果で辛うじて年初比100万円増となっておりますが、台湾ドル表記で見ると年初比-1%です。

 

株辛いです

 

年初来リターン

年初来リターンは-20.9%です。

 

年初来リターンの算出には修正ディーツ法を用いました。修正ディーツ法は、入出金を加味したパフォーマンスを計算する方法の一つです。

 

ちなみに以下、主要指数の2022年6月30日時点の年初来リターンです。

  • S&P500: -20.58%
  • NASDAQ総合指数: -29.51%
  • 台湾加権指数: -18.62%
  • 日経平均: -8.33%
  • TOPIX: -6.1%%

Bloomberg より

 

入出金額推移(年初来)

 

入出金額推移(台湾ドル換算)

 

 

【グラフの見方】
: 株購入額 > 株売却額
: 株購入額 < 株売却額
: 2022年累計の入出金額

 

 

6月末時点での2022年の入出金合計額はNT$+943,487(約431万円)です。

 

6月は原油ETFを売却しました。

 

2月、5月に200 ~ 300万円のスポット買いを実施しています。

1、3、4月にも株は買っていますが、入金額(株購入額)より出金額(株売却額)の方が大きかったので月の入出金総額はマイナスとなっております。

 

ポートフォリオ

以下、6月末時点のポートフォリオ(時価総額ベース)です。

 

ポートフォリオ(時価総額ベース)

 

 

個別株: 53.4%

ETF: 46.6%

 

 

カテゴリー別投資先割合

  • 半導体: 39.4%
  • 金融: 14.0%
  • 米国指数: 41.6%
  • 中国指数: 5.0%

 

 

地域別投資先割合

  • 台湾: 53.4%
  • 米国: 41.6%
  • 中国: 5.0%

 

保有銘柄

次に各々の保有銘柄のパフォーマンスになります。

 

保有銘柄(個別株)

銘柄名 銘柄
コード
保有
数量
取得額 評価額 評価
損益率
TSMC
台積電
2331 1,500
(±0)
429.25 475 +10.4%
(-18.66 ppt)
Phison
群聯
8299 1,000
(+1,000)
342.01 271 -21.11%
(-21.11 ppt)
Fubon Financial
富邦金
2881 4,000
(±0)
76.81 59.8 -22.49%
(-4.57 ppt)

China

Development

Financial
開發金

2883 15,000
(±0)
19.81 14.7 -26.19%
(-7.53 ppt)
ASE
日月光
3711 2,000
(±0)
55.71 76.4 +36.53%
(-29.38 ppt)
WIN Semi
穩懋
3105 600
(±0)
361.69 192.5 -47.01%
(-8.94 ppt)
GlobalWafers
環球晶
6488 100
(±0)
620.9 453 -27.36%
(-27.42 ppt)

時価保有総額順

取得・評価額単位: NT$

括弧: 前月比

 

保有銘柄(ETF)

銘柄名 銘柄
コード
保有
数量
取得額 評価額 評価
損益率
S&P 500
元大S&P500
00646 24,000
(+2,000)
37.19 34.79 -6.67%
(-6.22 ppt)
NASDAQ-100
富邦NASDAQ
00662 12,000
(±0)
50.34 44.32 -12.17%
(-6.88 ppt)
MSCI China Free 50
中信中國50
00752 8,000
(±0)
31.33 20.37 -35.14%
(+5.93 ppt)

時価保有総額順

取得・評価額単位: NT$

括弧: 前月比

 

まとめ

  • 6月末時点の運用資産: 1,496万円
  • 前月比-12.4%(211万円減)
  • 年初比+8.8%(121万円増)
  • 1 ~ 6月の合計入金額: +431万円
  • 年初来リターン: -20.9%
  • 原油ETFを全売り

 

では、この辺で。

拜拜~

【2022CQ1決算】データセンター半導体ファブレス大手3社の業績と今後の見通し《AMD、NVIDIA、Marvell》

データセンター向け半導体ファブレス大手3社(AMD、NVIDIA、Marvell)の業績と今後の見通しについてまとめました。

AMDは1 ~ 3月期、NVIDIAとMarvellは2 ~ 4月期業績となります。

 

各社動向

  • AMD: 買収したXilinx社のFPGA、Pensando社のDPUを活用してハイパースケールのみならずエッジデータセンターにも力を入れる
  • NVIDIA: 買収したMellanox社のネットワーク技術とNVIDIA GPUとのシナジー図る。サーバー向けCPUに参戦
  • Marvell: コンピューティング、ネットワーキング、ストレージとオールマイティなデータセンタービジネス。データセンター向け次世代アーキテクチャCXLに力を入れる

 

 

最近の米国テック企業動向に目を向けると

  • Meta、Twitter、Uberらテック大手による採用計画見直し
  • Netflixは従業員300人解雇

といった、コスト削減を目的とする新規雇用の大幅鈍化や従業員削減が見られます。またMicrosoftは第4四半期(4 ~ 6月期)業績の下方修正を行いました(Microsoftは売り上げの半分を米国以外で計上しているため、為替変動の影響が大きいことに注意)。

 

データセンター市場は今年一年通して高い成長が期待されていますが、テック企業はAI、クラウドサービス、オンライン決済等、大小問わずサーバー及びデータセンター向けの高性能な半導体を間接的に使用する顧客であるため、不況を身構えるテック企業の動向がデータセンター投資へ与える影響が全くないとは考えにくく、データセンター需要の強気な姿勢に若干疑問が残ります。

 

この記事ではデータセンター半導体ファブレス大手3社の

  • 第1四半期のデータセンタービジネスハイライト
  • 今後のデータセンタービジネス見通し

についてまとめています。

 

 

AMD

Intel(NASDAQ: INTC)に次ぐCPUシェアを誇っており、最近はサーバー向けCPU市場でシェアを伸ばしております。ティッカーシンボルは$AMD。

 

2022年1 ~ 3月期業績

売上高 QoQ +22% / YoY +71%

 

Xilinxの業績を含めた第1四半期の売上高はUS$59億で過去最高を記録しました(AMDの売上高推移は後述グラフを参照)。

 

今年2月にFPGA大手Xilinx社の買収が完了し、今四半期決算よりXilinxの業績が計上されております。Xilinxの業績を除いた売上高はUS$53億で前年同期比+55%となります。

 

 

粗利益・営業利益 YoY +100%

 

粗利益率は53%で前年同期比6.6ポイント増となりました。Xilinxの寄与を除くと、4.8ポイント増の51%となります。利益率の高いサーバー向けプロセッサをコアビジネスとするXilinxの業績がAMD全体の利益率を押し上げる結果となりました。

 

粗利益と営業利益はともに前年同期比で倍増となりました。AMDとXilinxともにサーバー向けプロセッサビジネスが好調でした。

 

7四半期連続で前年同期比45%以上の収益成長、過去10四半期で前年同期比60%以上の純利益増加を達成しています。

 

AMDの売上高推移(全社売上 = エンタープライズ/エンベデッド/セミカスタムセグメント + その他セグメント)

 

 

第1四半期決算での報告セグメントは

  • コンピューティング&グラフィックス
  • エンタープライズ/エンベデッド/セミカスタム
  • Xilinx社

となっておりますが、本記事では「エンタープライズ/エンベデッド/セミカスタムセグメント()」と、それ以外のセグメント「その他()」に分けております。

 

 

上記の通りAMDはデータセンター単体でのセグメント報告はしておりません。

ただ第2四半期より報告セグメントの再編が実施されるとのことで、次四半期よりデータセンター事業単体の業績開示がなされると思われます。

 

データセンター

データセンターの売上は全体売上の20%台前半でした。

(AMDの決算カンファレンスコールQ&Aセッションより)

 

AMDの第1四半期売上高がUS$59億でしたのでデータセンターの売上はUS$12 ~ 14億程度となります。

売上高成長率は前年比で倍増だったようです。

 

AMD エンタープライズ/エンベデッド/セミカスタムセグメントの売上高前年同期比推移

 

 

データセンター半導体を含めたエンタープライズ/エンベデッド/セミカスタムセグメントの売上高はUS$25億、売上高成長率は前年同期88%増となりました。

サーバー用セミカスタム及び組込み用プロセッサが好調でした。

 

 

CPU

 

サーバー向けCPUの売上高は前年同期比で2倍以上、前四半期比でも2桁の伸びを記録しました。

Alibaba、Amazon、Baidu Cloud、Microsoft Azure、Googleなどのハイパースケールコンピューティングの顧客による内部インフラ導入拡大の際にAMD製チップ搭載のクラウドインスタンスを立ち上げたことが増収に貢献しました。

 

過去10四半期のうち、8四半期でサーバーCPUの売上が前年同期比で2倍以上になっており、クラウド、エンタープライズ、HPCの顧客から「EPYC(AMD製サーバーCPU)」需要の強さを占めております。

 

 

GPU

 

データセンター向けGPUの売上高は前年同期比で横ばいでした。

 

ビジネスハイライト

  • 「Instinct(データーセンター向けGPU)」のMI210発売
  • 「ROCm 5.0(Instinct GPU向けターンキー型ソフトウェアプラットフォーム)」発表

 

 

FPGA

 

買収したXilinx社のFPGAは

  • FPGAaaS (FPGA-as-a-Service)
  • SmartNIC

という形で搭載・販売されており、ハイパースケールコンピューティングのティア1への展開拡大や、フィンテック企業との低遅延ネットワーキングソリューションによって売上高を伸ばしております。

 

SmartNICはネットワークやストレージ、セキュリティ機能を向上させられるプログラマブルなNIC (Network Interface Card)のことです。

近年、データセンター内のサーバーCPUには高負荷がかかるようになっており、負荷の高いパケット処理をサーバーから切り離してCPUの負荷軽減に一役買っております。

 

今後の見通し

第2四半期業績

 

第2四半期のAMD全体の売上高は

  • 前期比+10%
  • 前年同期比+70%

のガイダンスとなっております。Xilinxの収益計上に加え、サーバー、セミカスタム、クライアントの収益増加が売上高前年同期比大幅増加の要因となります。

 

 

2022年通年業績

 

2022年通年の売上高は前年比+60%と大幅増加見込みとなっておりますが、こちらにおいてもXilinxの収益が3.5四半期分追加されることに注意が必要です。

 

いずれにしてもPC市場へは保守的なガイダンスを示しながらも、エンタープライズ向け半導体ビジネスがAMDの売上を牽引していきそうです。

 

 

AMDは

  • Xilinx社のFPGA(買収完了)
  • Pensando社のDPU・ネットワーク(2022年5月に買収発表)

を製品ポートフォリオに組み入れ、クラウドやハイパースケールだけでなくエッジデータセンターへの参入、そしてハードウェアとソフトウェアの両面からデータセンター半導体の最適化を図ろうとしております。

 

XilinxのFPGA搭載AI推論エンジンを統合した新プロセッサが2023年に発売される予定となっており、非常に楽しみであります。

 

NVIDIA

ゲーミングやプロクリエイター向けのGPUを主軸に、近年は仮想通貨マイニング、データセンター、自動運転とアプリケーションの拡大を図る"謎の半導体企業"(NASDAQ: NVDA)。

 

2022年2 ~ 4月期業績

売上高 QoQ +8% / YoY +46%

 

2022年2 ~ 4月期の売上高はUS$83億で過去最高を記録しました(売上高推移グラフは下記図参照)。

データセンターとゲーミングの両セグメントで過去最高の売上高を達成しております。

 

NVIDIAの売上高推移(全社売上 = データセンターセグメント + その他セグメント)

 

 

NVIDIAの決算報告セグメントは

  • データセンター
  • ゲーミング
  • プロフェッショナルビジュアライゼーション
  • 自動車
  • OEM及びその他

で構成されておりますが、本記事では「データセンターセグメント()」にスポットを当て、それ以外のセグメントを「その他()」と区分しております。

 

データセンター

データセンターセグメントの売上高はUS$38億でした(上記グラフ参照)。

過去最高の売上高を記録しました。

 

売上高成長率は

  • 前年同期比 +83.1%(下記グラフ参照)
  • 前期比 +14.9%

 

NVIDIA データセンターセグメントの売上高前年同期比推移

 

 

ハイパースケールコンピューティング及びクラウドコンピューティングの顧客からの収益が前年同期比で倍以上の増益となり、今四半期の売上高を押し上げました。

 

顧客のインフラ構築にNVIDIAの半導体が多数導入され、ニューラルネットワークやディープラーニングにおける学習及び推論フェーズにてNVIDIAのGPU「A」シリーズの採用が広がったとのことです。

 

Aシリーズ(A100、A40等)は第3世代のTensorコアを導入したAmpereアーキテクチャのGPUです。

後述するHシリーズ(H100)は第4世代のTensorコアを導入したHopperアーキテクチャのGPUになります。

 

またデータセンター向けネットワーキング製品の収益も好調で、25/50/100ギガのイーサネットアダプタへの幅広い需要の存在を明かしておりました。

 

NVIDIAの演算チップ(CPU、GPU)と(旧Mellanoxの)ネットワーキング製品を組み合わせてデータセンターを構築する顧客が増えてきており、Mellanox社買収による相乗効果が生まれているように思えます。

 

NVIDIAのネットワークビジネスは2020年に買収したMellanox社を基盤としております。

 

今後の見通し

第2四半期業績

 

第2四半期のデータセンターセグメントの売上高はロシア向け売上がゼロである影響をUS$1億と予測されております。

NVIDIAはロシアと中国でのゲーム機販売減少によりUS$4億のゲームセグメント売上減少を見積もっておりますが、データセンターと自動車関連の好調な伸びでカバー可能としております。

 

次にデータセンター向け主力製品

  • ネットワーキング
  • GPU
  • CPU

の今後の動向を見ていきます。

 

 

ネットワーク: 供給難続く

 

ネットワークシステムの構築にはトランシーバー、コネクタ、ケーブルなど多数の物理的な部品が必要で複雑なシステムとなっております。複雑なシステムであるが故に今日のサプライチェーン問題が浮き彫りになっております。

サプライヤーのサポートもあり去年の第4四半期以降、四半期毎に供給量の増加を達成しており、ネットワーキング製品の収益は好調としつつも、依然として供給不足が続いているようです。

 

決算では今年中の改善を見込んでいると発言がありましたが、引き続き注視していく必要があると思われます。

 

 

GPU: 次世代ハイエンドモデル投入

 

「A100」の後継モデル「H100」が今年第3四半期に市場投入される予定です。

 

第4世代のTensorコアを導入したHopperアーキテクチャのGPUです。TSMC製4nmプロセス「N4」で製造され、次世代データセンターのワークロード

  • 大規模言語モデル
  • レコメンダーモデル

に最適な高性能GPUとして期待されております。

 

現在サーバー及びハイパースケールデータセンターの主要顧客と協力してH100の認定を進めているようです。

 

 

CPU: NVIDIA初のデータセンターCPU投入

 

来年2023年前半にはNVIDIA初のデータセンター向けCPU「Grace」の発売が予定されております。

 

先月開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2022では、ASUS、Foxconn、Gigabyteらによって、Graceを搭載した数十のサーバーモデルが市場に投入されると発表されました。

 

これらのサーバーには

  • Grace CPU Superchip(2つのGrace CPU搭載)
  • Hopper GPU

の統合モデルである「Grace Hopper Superchip」が搭載される予定となっております。

 

クラウドグラフィックス、デジタルツイン、HPCやAIらの次世代データセンターにおける膨大なワークロードに対応するHGX(NVIDIA製のAI開発プラットフォーム)です。

 

NVIDIA製のCPU・GPUのみならず、InfiniBandネットワーク、そして独自の高速コヒーレントインターコネクト規格「NVLink」を導入し、シリコンダイからシリコンダイ、チップからチップ、そしてシステムからシステムへの拡張を可能としております。

 

 

前述したAMD、後述するMarvellにおいても同様ですが、単体の演算チップやネットワークスイッチのスタンドアローン販売形態から、これらを組み合わせたトータルソリューション販売モデルへの移行が感じられます。

 

Marvell

最先端プロセスのユーザーと言えば、Appleを筆頭にQualcomm、Intel、AMD、NVIDIAのような汎用プロセッサ設計企業を思い浮かべると思いますが、Marvell(NASDAQ: MRVL)も最先端プロセス採用に積極的なベンダーの一つとなります。

 

コンピューティング、ネットワーキング、エレクトロオプティクス、ストレージ用途の高性能半導体ICを最先端プロセスにて提供しております。

 

2022年2 ~ 4月期業績

売上高の増加は主にデータセンター市場が牽引したものになりますが、キャリアインフラ市場や自動車関連市場も好調であり、いずれも想定を上回りました。

売上高推移は後述グラフを参照下さい。

 

Marvellの売上高推移(全社売上 = データセンターセグメント + その他セグメント)

 

 

Marvellの決算報告セグメントは

  • キャリアインフラ
  • エンタープライスネットワーク
  • 自動車
  • 産業機器

で構成されておりますが、本記事では「データセンターセグメント()」にスポットを当て、それ以外のセグメントを「その他()」と区分しております。

 

データセンター

データセンターセグメントの売上高はUS$6億でガイダンスを上回りました(上記グラフ参照)。

コンピューティング、ネットワーキング、ストレージの複数の製品ラインが幅広く貢献しております。

 

売上高成長率は

  • 前年同期比 +131.1%(下記グラフ参照)
  • 前期比 +11.6%

 

Marvell データセンターセグメントの売上高前年同期比推移

 

 

コンピューティング

 

今四半期中にハイパースケールデータセンターの顧客からカスタムSmartNICを受注しております。

 

Marvellの手がけるDPU「OCTEON」シリーズの最新チップ「OCTEON 10」(第7世代DPU)は5nmプロセスで製造されており、この最新チップが最新のSmartNICに搭載されていると思われます。

 

今日のデータセンターではDPUの採用が進んでいることからも、Marvellは今後も最先端プロセスのプラットフォームを強化していくと思われます。

 

 

エレクトロオプティクス

 

データセンター内の要求データ伝送帯域幅が高まり続ける中でPAMソリューションとデータセンター間のZRプラグケーブルに対する強い需要があります。

現在、クラウドデータセンター大手ティア1がMarvellのPAMベースの200ギガ及び400ギガソリューションの大量導入推進中とのことです。

 

PAMというのは光信号変調方式の一つで、データセンター内の光イーサネットに要求される数百Gbit/sの伝送速度に必要不可欠な要素です。

一般的なデジタルICにはデジタル信号を0と1の2値で伝送するNRZ方式が用いられていますが、PAM伝送方式では1タイムスロットあたりに2bit以上の値を伝送します。

NRZ: Non Return to Zero
PAM: Pulse Amplitude Modulation

 

  • サーバーCPUの性能向上がPAM技術の必要性を加速させる
  • 光通信モジュールあたりのシリコンコンテンツ増加

をMarvellは見込んでおり、今後も大幅な成長が期待されております。

 

 

ストレージ

 

今四半期のクラウド向け大容量ストレージ需要は引き続き増加しました。

 

  • HDD: ニアラインHDD向け制御ICとプリアンプが堅調な伸び
  • SSD: SSD向け制御ICは前年同期比で大幅増益

 

ニアラインストレージはオンラインストレージほど高速・高性能ではないが、磁気テープなどのオフラインストレージとは異なり、必要なときに高速なアクセスが可能なストレージを指します。

オンラインストレージとオフラインストレージの中間に位置づけられるストレージ製品区分です。

 

Marvellは2016年以降、SSD事業への投資に集中しております。

  • SSD制御ICに搭載するコアIP開発への投資増加
  • ファームウェア開発チームを4倍に増やす
  • PCIe規格の次世代(第5/6世代)への投資開始

 

今後の見通し

第2四半期業績

 

第2四半期のデータセンターセグメントの売上高は

  • 前期比で1桁台前半
  • 前年同期比で約50%

の伸びが会社より公表されております。

 

好調だった第1四半期に続き、第2四半期も継続的な成長が見込まれています。特に、クラウドからの収益がオンプレミスを大幅に上回る成長を遂げると予想されております。

 

オンプレミスは、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用することを指します。「自社運用」とも呼びます。

これに対して、サーバーやシステムを自社に置かず、ネットワーク経由でサービスを使う形態がクラウドです。

 

第2四半期以降の下半期にはクラウド及びイーサネットスイッチの更なる貢献と、クラウドに最適化したASIC(カスタム設計)の大規模な受注の存在を示唆しており、2022年後半もデータセンターセグメントの業績は良いと思われます。

 

まとめ

  • 3社のデータセンター事業の第1四半期売上高は以下の通り
  • AMD:: US$12 ~ 14億 / YoY +100%
  • NVIDIA: US$38億 / YoY +83%
  • Marvell: US$6億 / YoY +131%
  • 多数の部品で構成されるネットワークシステムは供給網に問題あり
  • 単体の演算チップやネットワークスイッチのスタンドアローン販売形態から、これらを組み合わせたトータルソリューション販売モデルへのビジネスモデル移行
  • 各社の戦略は以下の通り
  • AMD: 買収したXilinx社のFPGA、Pensando社のDPUを活用してハイパースケールのみならずエッジデータセンターにも力を入れる
  • NVIDIA: 買収したMellanox社のネットワーク技術とNVIDIA GPUとのシナジー図る。サーバー向けCPUに参戦
  • Marvell: コンピューティング、ネットワーキング、ストレージとオールマイティなデータセンタービジネス。データセンター向け次世代アーキテクチャCXLに力を入れる

 

では、この辺で。

拜拜~

【2022Q1決算】シリコンウエハ大手2社の業績と今後の見通し《SUMCO、GlobalWafers》

シリコンウエハ大手2社(SUMCO、GlobalWafers)の2022年第1四半期決算が出揃いましたので各社の業績と今後の見通しについてまとめました。

 

 

コロナショックによる半導体特需以降、慢性的な供給不足に陥っている半導体の基礎素材"シリコンウエハ"。

 

供給面に目を向けると、シリコンウエハメーカー各社は過去の過剰増産投資によるウエハ価格買い叩かれをトラウマに持っており、今回の半導体特需による顧客からの強い増産要請にも慎重な姿勢を見せております。

各社とも現在は既存工場の拡張による増産を実施中ですがこれらによる生産能力増加では補えないほど需要が強く、顧客に対して長期契約と前払いを前提としたグリーンフィールド投資に踏み切っております。しかしながらグリーンフィールド投資は増産開始までに時間がかかり、新規工場が立ち上がるのは2023年からと言われております。また地政学によるロジスティクス懸念により設備投資計画の遅延が浮上してきております。

シリコンウエハの製造装置だけでなく、工場内のワイヤーハーネスや配管といった従来であれば不足に陥ることが考えられなかった品まで納期遅延を余儀なくされている状況です。

 

一方で足元のウエハ需要は日々強くなっており、データセンター、5Gスマホ、EVといったメガトレンドが今日の半導体市場の成長を後押ししております。さらにインターポーザやウエハ結合といった半導体の高性能化に必要不可欠な新しいトレンドがウエハ需要をさらに加速させており、今後ますますの強い引き合いが予測されます。

 

この記事ではシリコンウエハ大手2社の

  • 2022年第1四半期業績
  • ビジネスハイライト
  • シリコンウエハ生産能力状況
  • シリコンウエハ市況
  • 今後の設備投資動向

についてまとめています。

 

 

2022年第1四半期業績

 

  SUMCO GWC
売上高 1,004
QoQ +10.1%
YoY +32.3%
163
QoQ +3.5%
YoY +10.1%
営業利益 234
QoQ +56%
YoY +151.6%
58.9
QoQ +22.3%
YoY +49.1%
営業利益率 23.3%
QoQ +6.8ppt
YoY +11.0ppt
36.1%
QoQ +5.5ppt
YoY +9.4ppt
EBITDA 368
QoQ +21.5%
YoY +76.9%
18.02
QoQ -65.0%
YoY -64.3%
EBITDA
マージン
36.7%
QoQ +3.5ppt
YoY +9.3ppt
11.1%
QoQ -21.6ppt
YoY -23.0ppt
EPS 43.4
QoQ +4.1%
YoY +71.3%
4.0
QoQ -17.7%
YoY -35.1%

GWC: GlobalWafers Co., Ltd.

売上高・粗利益・営業利益単位: SUMCOは億円、GWCはNT$億

EPS単位: SUMCOは円、GWCはNT$

 

売上高成長率推移

 

シリコンウエハ大手2社の売上高前年同期成長率推移

 

営業利益率推移

 

シリコンウエハ大手2社の営業利益率推移

 

EBITDAマージン推移

 

シリコンウエハ大手2社のEBITDAマージン推移

 

第1四半期ビジネスハイライト

SUMCO

  • 営業利益が前年同期比で倍増
  • 装置の故障等がなくスムーズにウエハ生産を行えた

 

GlobalWafers

  • 2022年は顧客の前払い増加傾向
  • 今四半期は過去最高の前払金を記録(NT$331.1億)
  • 長期契約を結ぶ顧客も増加傾向

 

シリコンウエハ生産能力状況

本サイトでは2020年よりシリコンウエハ主要メーカーの決算まとめを行なっていますが、当時から各社生産ラインのフル稼働状態がずっと続いている状態です。

 

  • 200mmウエハ
  • 300mmウエハ

の生産能力状況について以下にまとめました。

 

200mmシリコンウエハ

 

200mmシリコンウエハ供給量推移(SUMCO決算資料より作成)

 

 

SUMCOの決算資料を参考にさせていただきますと、200mmウエハの供給量は2021年に600万枚で高止まりしている様子が伺えます。

これはシリコンウエハが売れないということではなくウエハ生産能力が既に限界に達しており、さらに生産したウエハも全て売り切った状態であるとのことです。

 

生産性向上による増産も限界を迎えているとのことで、生産能力拡張を行わない限りこれ以上供給量を増やすことは難しいようです。

したがって今年2022年も去年と同水準の600万枚を天井に張り付いて推移すると予測されています。

 

300mmシリコンウエハ

 

300mmシリコンウエハ供給量推移(SUMCO決算資料より作成)

 

 

ウエハメーカー各社設備投資を実施してきた300mmウエハについては去年後半から供給量の伸びが緩やかになっており、各社のブラウンフィールド投資による追加増産能力も既にフルになっていることを示唆しております。

 

300mmウエハの新規生産ラインは来年から再来年にかけて立ち上がる計画ですので、来年2023年はウエハが最も不足する年になると危惧されております。

 

シリコンウエハ市況

ウエハ在庫

コロナショックによる半導体特需以降、顧客のシリコンウエハ在庫水準は減少傾向です。

 

特にロジック向けウエハが深刻で過去最低水準まで落ちており、在庫期間は1か月を下回る状態とのことです。

 

シリコンウエハの引き合いが強いセクターとして

  • データセンター
  • スマートフォン
  • 自動車

が挙げられます。

 

 

TSMC(TWSE: 2330、NYSE: TSM)やAMD(NASDAQ: AMD)の2022年第1四半期決算からもデータセンター需要の強さは明らかです。

 

TSMC含むファウンドリ大手4社の2022年第1四半期決算内容は以下にまとめております。

 

taikabu.com

 

 

スマートフォンについては需要減速が指摘されておりますが、5G移行をベースとした半導体の高性能化を考えるとスマホ出荷台数減少をシリコンコンテンツ増加で相殺していく感じだと思われます。

 

したがってシリコンウエハ需要低下の懸念は限定的だと考えております。そもそも現状供給が追いついておりませんのでウエハが余ることは考えにくいです。

 

スマートフォン市況に関しては、スマホ向けアプリケーションプロセッサ大手2社、Qualcomm(NASDAQ: QCOM)とMediaTek(TWSE: 2454)の2022年第1四半期決算レビュー記事にてまとめております。

 

taikabu.com

 

 

ウエハ需給

ウエハ需要の旺盛なセクターを前述させていただきましたが、種別では

 

300mm → 化合物 → 200mm

 

の順でウエハ需要が強く、とにかく供給が需要に追いつかない状態が続いているようです(GlobalWafers決算より)。

 

300mmウエハについてはスポットで売り出す余裕がなく、ほとんどが長期契約向けの供給となっております。200mmウエハは長期契約にて交わした供給量に対して更に増やしたいという声が多い程度に逼迫状態が続いており、スポットでの供給はほぼゼロとのことです。

 

前述のシリコンウエハ生産能力状況と照らし合わせてみても

  • 需要が強い → 300mmウエハ
  • 不足感が強い → 200mmウエハ

といった感じでしょうか。

 

 

データセンターとスマホの5G移行、共に高性能な半導体が必要になってくるということで最先端プロセス向けの300mmエピウエハ(エピタキシャルウエハ、EW)に注力しているSUMCOには追い風になってきそうです。

 

最先端繋がりで話を広げさせていただくと、インターポーザやメモリ製造過程でのウエハ結合といった新しいトレンドがウエハ需要を更に押し上げている実態もあります。

具体的にはポリッシュトウエハ(PW)がこれら分野での引き合いが強く、これまでウエハを全然買ってこなかった顧客が突然大量発注してきているようです。

 

今後の設備投資動向

ウエハを作る装置だけでなくウエハ工場建に関連する幅広い品不足により設備投資の当初計画に対して遅れてる(遅れる可能性がある)様子が伺えます。

 

以下にSUMCOとGlobalWafersの設備投資進捗についてまとめました。

 

SUMCO

現在、国内及び海外工場の増産投資計画が進んでいます。

 

設備投資計画はスケジュール通りのようですが、ワイヤーハーネス、配管のような従来では不足に陥る事態が考えられなかった品までもが不足している状況で、さらに地政学によるロジスティクスの問題にも直面しており余談を許さない状況が続いているとのことです。

 

GlobalWafers

イタリア、デンマーク、米国、日本、韓国、そして台湾の6カ国で既存工場拡張と新工場建設による増産計画が進んでおります。

これらは2022 ~ 2024年までの増産計画になります。

 

ブラウンフィールド、グリーンフィールド投資各種の進捗は以下の通りです。

  • ブラウンフィールド: 予定通り
  • グリーンフィールド: 機器のリードタイム長期化により1 ~ 2四半期遅れる可能性あり

 

GlobalWafersのグリーンフィールド投資は1 ~ 2四半期遅れる可能性があるとのことで、なんだかんだスケジュール通りに増産計画が進んでいるSUMCOより事態は深刻であるように思えます。

 

まとめ

  • 作っても作っても全て売れてしまう現在のシリコンウエハ
  • 200mmウエハは供給量頭打ちで需要に全く追いつかない
  • 200mm/300mm共に長期契約者への出荷がほとんどでスポットへ出回る量は限定的
  • これによりスポット価格は来期も上昇
  • 不足感が強いのは200mmウエハ
  • 需要が強いのは300mmウエハ
  • 最先端プロセス向け300mmウエハ需要はデータセンターとスマホが牽引
  • ポリッシュトウエハ需要はインターポーザ、ウエハ結合といった新トレンドが牽引
  • SUMCOの増産計画はスケジュール通りであるが余談を許さない状況
  • GlobalWafersのグリーンフィールド投資は1 ~ 2四半期遅れる可能性あり

 

では、この辺で。

拜拜~

【資産運用報告】【2022年5月】

どもども、たいかぶ(@taikabu0)です。

 

5月の資産運用報告やっていきます。

 

更新履歴

  • 2022年7月2日: 保有個別銘柄の評価損益率修正

 

 

運用成績

資産運用額

以下、5月末時点での台湾ドル建て株式資産の資産運用額と年初・前月・前年比、及び評価損益額・率です。

 

資産運用額
(5月末時点)
3,846,944
(約1,707万円)
評価損益
(5月末時点)
-4,886
(約-2万円)
-0.13%
(-0.13%)
資産運用額
(年初)
3,313,675
(約1,375万円)
年初比 +533,269
(約+332万円)
+16.1%
(+24.2%)
前月比 +711,833
(約+324万円)
+22.7%
(+23.5%)
前年比 +1,475,032
(約+763万円)
+62.2%
(+81.0%)

単位: NT$(括弧は日本円換算)

5月の為替レート: NT$1 = 4.436JPY

 

運用資産推移(年初来)

以下、年初来の運用資産推移です。台湾ドル建て株式資産のみとなります。円建ての日本株式資産は含みません。現金も同様。

 

運用資産推移(日本円換算)

 

 

運用資産推移(台湾ドル換算)

 

 

【グラフの見方】
含み益の場合:
資産 = 元本 () + 含み益 ()

含み損の場合:
資産 = 元本 () - 含み損 ()

 

 

5月末時点の運用資産は、元本1,709万円()から含み損の2万円()を差し引いた1,707万円でした。

 

日本円換算で運用資産増減を見ると

  • 前月比+23.5%(324万円増)
  • 年初比+24.2%(332万円増)

でした。

 

継続的な入金を行なっているので元本 () は基本的に緩やかに増えていっていますが、含み益は年初以降ずるずる減っていき、4月で含み損に転落しました。

年初から500万円近く入金しているにもかかわらず、株式資産は300万円ちょいしか増えておりません。

 

株辛いです

 

株価の下落が主要因ですがポジションを落としたことも一要因になります。実際にはSOX ETFを全て利確しました。

 

年初来リターン

年初来リターンは-9.8%です。

 

年初来リターンの算出には修正ディーツ法を用いました。修正ディーツ法は、入出金を加味したパフォーマンスを計算する方法の一つです。

 

ちなみに以下、主要指数の2022年5月31日時点の年初来リターンです。

  • S&P500:-13.3%
  • NASDAQ総合指数:-22.78%
  • 台湾加権指数:-7.75%
  • 日経平均:-5.25%
  • TOPIX(東証株価指数):-4.0%

Bloomberg より

 

入出金額推移(年初来)

 

入出金額推移(台湾ドル換算)

 

 

【グラフの見方】
: 株購入額 > 株売却額
: 株購入額 < 株売却額
: 2022年累計の入出金額

 

 

5月末時点での2022年の入出金合計額はNT$+1,067,054(約470万円)です。

 

2月、5月に200 ~ 300万円のスポット買いを実施しています。

1、3、4月にも株は買っていますが、入金額(株購入額)より出金額(株売却額)の方が大きかったので月の入出金総額はマイナスとなっております。

 

ポートフォリオ

以下、5月末時点のポートフォリオ(時価総額ベース)です。

 

ポートフォリオ(時価総額ベース)

 

 

個別株: 45.2%

ETF: 54.8%

 

 

カテゴリー別投資先割合

  • 半導体: 32.2%
  • 石油: 14.8%
  • 金融: 12.9%
  • 米国指数: 36.2%
  • 中国指数: 3.8%

 

 

地域別投資先割合

  • 台湾: 45.2%
  • 米国: 36.2%
  • 中国: 3.8%
  • その他: 14.8%

 

保有銘柄

次に各々の保有銘柄のパフォーマンスになります。

 

保有銘柄(個別株)

銘柄名 銘柄
コード
保有
数量
取得額 評価額 評価
損益率
TSMC
台積電
2331 1,500
(±0)
432 560 +29.06%
(+5.07 ppt)
Fubon Financial
富邦金
2881 4,000
(±0)
76.81 64.1 -16.92%
(-13.35 ppt)

China

Development

Financial
開發金

2883 15,000
(±0)
19.81 16.2 -18.66%
(-8.79 ppt)
ASE
日月光
3711 2,000
(±0)
62.71 104.5 +65.91%
(+14.13 ppt)
WIN Semi
穩懋
3105 600
(±0)
361.69 225 -38.07%
(+8.12 ppt)
GlobalWafers
環球晶
6488 100
(±0)
620.9 624 +0.06%
(+16.68 ppt)

ポートフォリオの時価総額順

取得・評価額単位: NT$

括弧: 前月比

 

保有銘柄(ETF)

銘柄名 銘柄
コード
保有
数量
取得額 評価額 評価
損益率
S&P 500
元大S&P500
00646 22,000
(+11,000)
37.41 37.79 -0.45%
(-2.79 ppt)
NASDAQ-100
富邦NASDAQ
00662 12,000
(+1,000)
50.34 47.79 -5.29%
(-6.21 ppt)
S&P GSCI 原油
期元大S&P石油
00642U 25,000
(+25,000)
20.68 22.85 +10.23%
(+10.23 ppt)
MSCI China Free 50
中信中國50
00752 8,000
(-1,000)
31.33 18.5 -41.1%
(-0.03 ppt)

ポートフォリオの時価総額順

取得・評価額単位: NT$

括弧: 前月比

 

まとめ

  • 5月末時点の運用資産:1,707万円
  • 前月比+23.5%(+324万円)
  • 年初比+24.2%(+332万円)
  • 1 ~ 5月の合計入金額:+470万円
  • 年初来リターン:-9.8%
  • SOX ETF(米国半導体株指数)は全売り

 

470万円入金して330万円しかお金が増えない辛さ、、、、、、、

 

では、この辺で。

拜拜~

【資産運用報告】【2022年4月】

どもども、たいかぶ(@taikabu0)です。

 

1ヶ月遅れになりますが4月の資産運用報告やっていきます。

 

 

運用成績

資産運用額

以下、4月末時点での台湾ドル建て株式資産の資産運用額と年初・前月・前年同月比です。

 

資産運用額
(4月末時点)
3,135,111
(約1,382万円)
資産運用額
(年初)
3,313,675
(約1,375万円)
年初比 -178,565
(約+78万円)
-5.4%
(+0.6%)
前月比 -369,382
(約-107万円)
-10.5%
(-7.2%)
前年同月比 +734,913
(約+445万円)
+30.6%
(+47.4%)

単位: NT$(括弧は日本円換算)

4月の為替レート: NT$1 = 4.409JPY

 

運用資産推移(年初来)

以下、年初来の運用資産推移です。台湾ドル建て株式資産のみとなります。円建ての日本株式資産は含みません。現金も同様。

 

運用資産推移(日本円表記)

 

 

運用資産推移(台湾ドル表記)

 

 

【グラフの見方】
運用資産額 = + or -

 

 

  • 4月末時点の運用資産:1,382万円 = 1,392万円() - 9万円(
  • 前月比+0.6%(日本円表記)/ -5.4%(台湾ドル表記)
  • 前月比78万円増
  • 年初比-7.2%(107万円減)

 

台湾ドル表記では前月比-5.4%となっていますが、円安のおかげで日本円は微増となりました

円安マジック

 

評価損益額・率

ポートフォリオ全体の含み益は-0.7%NT$-21,474(約-9万円)です。

 

ついに含み損に転落です、、、、、

 

年初来リターン

年初来リターンは-14.0%です。

 

年初来リターンの算出には修正ディーツ法を用いました。修正ディーツ法は、入出金を加味したパフォーマンスを計算する方法の一つです。

 

ちなみに以下、主要指数の2022年4月29日時点の年初来リターンです。

  • S&P500:-12.08%
  • NASDAQ総合指数:-19.45%
  • 台湾加権指数:-8.93%
  • 日経平均:-6.75%
  • TOPIX(東証株価指数):-4.65%

Bloomberg より

 

入出金額推移(年初来)

 

入出金額推移(台湾ドル表記)

 

 

4月末時点での2022年の入出金合計額はNT$+320,923(約141万円)です。

 

 

ポートフォリオ

以下、4月末時点のポートフォリオ(時価総額ベース)です。

 

銘柄・アセット

ポートフォリオ

 

 

個別株: 55.1%

ETF: 44.9%

 

地域

地域別にみると

  • 台湾: 55.1%
  • 米国: 39.6%
  • 中国: 5.3%

となっています。

 

保有銘柄

次に各々の保有銘柄のパフォーマンスになります。

 

保有銘柄(個別株)

銘柄名 銘柄
コード
保有
数量
取得額 評価額 評価
損益率
TSMC
台積電
2331 1,500
(+50)
432 538 +23.99%
(14.89 ppt)
Fubon Financial
富邦金
2881 4,000
(±0)
76.81 74.4 -3.57%
(-2.73 ppt)

China

Development

Financial
開發金

2883 15,000
(+15,000)
19.81 17.95 -9.87%
(±0 ppt)
ASE
日月光
3711 2,000
(±0)
62.71 95.6 +51.78%
(-12.54 ppt)
WIN Semi
穩懋
3105 600
(±0)
361.69 195.5 -46.19%
(-19.41 ppt)
GlobalWafers
環球晶
6488 100
(±0)
620.9 520 -16.62%
(-24.31 ppt)

ポートフォリオの時価総額順

取得・評価額単位: NT$

括弧: 前月比

 

保有銘柄(ETF)

銘柄名 銘柄
コード
保有
数量
取得額 評価額 評価
損益率
NASDAQ-100
富邦NASDAQ
00662 18,500
(±0)
50.36 50.9 +0.92%
(-9.25 ppt)
S&P 500
元大S&P500
00646 11,000
(±0)
31.33 38.71 +2.34%
(-4.55 ppt)
SOX
國泰費城半導體
00830 10,000
(+1,000)
24.84 25.9 +4.03%
(-14.32 ppt)
MSCI China Free 50
中信中國50
00752 9,000
(±0)
31.33 18.51 -41.07%
(-1.82 ppt)

ポートフォリオの時価総額順

取得・評価額単位: NT$

括弧: 前月比

 

まとめ

  • 4月末時点の運用資産:1,382万円
  • 前月比-7.2%(-107万円)
  • 年初比+0.6%(+78万円)
  • 1 ~ 4月の合計入金額:+141万円(前月比-33万円)
  • 年初来リターン:-14.0%

 

では、この辺で。

拜拜~

【2022Q1決算】半導体専業ファウンドリ大手4社の業績と今後の見通し《TSMC、UMC、GlobalFoundries、SMIC》

半導体専業ファウンドリ大手4社(TSMC、UMC、GlobalFoundries、SMIC)の2022年第1四半期決算が出揃いましたので各社の業績と今後の見通しについてまとめました。

 

 

2022年通年の半導体ファウンドリ市場の成長率は+20%前後と予測されていますが、大手4社の1 ~ 3月期売上高はその予測成長率を上回り、4社全て前年同期比+30%以上の増収となりました。中でも中国最大手のSMICは前年同期比+67%の売上高成長率を達成しています。

 

半導体業界はエンドマーケットの季節性により下半期業績の方が良い傾向にあるため、今回のファウンドリ各社の業績から2022年通年のファウンドリ市場成長率は上方修正される可能性が高いと思われます。

実際、TSMCは決算カンファレンスコールにて成長率の通期見通しを20%半ば ~ 後半に上方修正しております。

 

  • 2022年も製造委託料の値上げ姿勢を見せているファウンドリ各社
  • 稼ぎ頭であるスマホ・PC需要の減速
  • 中国のロックダウン

 

ここら辺の短・中期的なホットトピックへの理解の助長を目標に、この記事ではファウンドリ大手4社の

  • 2022年第1四半期ビジネスハイライト
  • 今後のビジネス見通し

についてまとめています。

 

 

2022年第1四半期業績

 

  TSMC UMC GF SMIC
売上高 4,911
QoQ +12.1%
YoY +35.5%
634
QoQ +7.3%
YoY +34.7%
1,940
QoQ +5.0%
YoY +36.8%
1,842
QoQ +16.6%
YoY +66.9%
粗利益 2,732
QoQ +18.4%
YoY +43.9%
275
QoQ +19.1%
YoY +120.2%
490
QoQ +23.4%
YoY +39.5%
750
QoQ +35.7%
YoY +200.0%
粗利益率 55.6%
QoQ +2.9ppt
YoY +3.2ppt
43.4%
QoQ +4.3ppt
YoY +16.9ppt
25.3%
QoQ +3.8ppt
YoY +18.3ppt
40.7%
QoQ +5.7ppt
YoY +18.0ppt
営業利益 2,238
QoQ +22.4%
YoY +48.7%
223
QoQ +26.7%
YoY +193.0%
279
QoQ +96.5%
YoY +393.7%
536
QoQ +27.6%
YoY +330.2%
営業利益率 45.6%
QoQ +3.9ppt
YoY +4.1ppt
35.2%
QoQ +5.4ppt
YoY +19.0ppt
14.4%
QoQ +6.7ppt
YoY +21.1ppt
29.1%
QoQ +2.5ppt
YoY +17.8ppt
EPS 7.82
QoQ +22.0%
YoY +45.1%
1.61
QoQ +23.9%
YoY +89.4%
0.42
QoQ +133.3%
YoY +268.0%
0.06
QoQ -14.3%
YoY +200.0%

売上高・粗利益・営業利益単位: TSMC・UMCはNT$億、GF・SMICはUS$M

EPS単位: TSMC・UMCはNT$、GF・SMICはUS$

 

売上高成長率推移

 

ファウンドリ大手4社の売上高前年同期成長率推移

 

粗利益率推移

 

ファウンドリ大手4社の粗利益率推移

 

営業利益率推移

 

ファウンドリ大手4社の営業利益率推移

 

TSMC

半導体ファウンドリ世界最大手のTSMC(TWSE: 2330、NYSE: TSM)。

 

 

  • Q1のビジネスハイライト
  • 最先端プロセス「N3」の動向

についてまとめております。

 

ビジネスハイライト

売上高 QoQ +12.1% / YoY +35.5%

 

プラス成長主要因

  • HPC (High Performance Computing)や自動車の需要が当初の予想を上回った
  • スマートフォンも当初の予想を上回った
  • COVID-19による行き先の不透明感が顧客側での在庫確保継続に繋がった

 

 

セグメント別売上高占有率推移

 

 

2022年第1四半期にてHPCセグメントがスマートフォンセグメントの売上を上回りました。

  • HPCセグメント: 41%
  • スマートフォンセグメント: 40%

 

前期比成長率では+26%となり、自動車セグメントと並んで同社で売上高前期比成長率の最も高いセグメントとなりました。

 

 

粗利益率 QoQ +2.9ppt / 営業利益率 QoQ +3.9ppt

 

Q1粗利益率は前期比+2.9ppt、前年同期比+3.2pptの55.6%となりました。

粗利益率改善については、①コスト改善と②台湾ドル-米ドルの為替が有利に影響したとのことです。

 

営業利益率改善については、ワクチン寄付金の減少を挙げています。

 

今後の収益性については

  • インフレによるコスト上昇
  • 主要ノードのプロセス複雑化
  • 成熟プロセスへの新規投資
  • 海外拠点拡張

による製造面での課題を懸念材料に挙げておりました。

 

最先端の3nmプロセス「N3」

TSMC製最先端3nmプロセス「N3」の量産はスケジュール通りで今年後半に立ち上げとなります。

まずはスマートフォンとHPC向けの半導体チップが製造されます。

 

 

最先端プロセスの収益性

 

収益貢献時期については2023年となっておりますが、新規プロセスノードはその複雑化とコスト面により、立ち上げから7 ~ 8四半期は全社平均の粗利益率に達するのは難しいというのが会社の見解です。

 

過去の事例(N7、N5)を見ると新規ノード立ち上げ初年度におけるウエハ収益貢献度は大体10%となっておりますので、2023年決算にてN3の売上がTSMC売上全体の10%程度となっている資料スライドを確認できるのではないかと思われます。

 

 

プロセスノード別売上高占有率推移

 

 

プロセスノード別の売上高占有率推移グラフを見ると、2022年第1四半期時点で

  • ウエハ売上に占める5nm、7nmの割合はそれぞれ20%、30%
  • 5/7nmから成る最先端テクノロジーの売上高比率が50%を占める

 

来年よりN3(TSMC製3nmプロセス)の売上が入ってくるため、7nm以下の最先端テクノロジーの売上比率は更に高まると思われます。

 

UMC

半導体ファウンドリ2021年売上高ランキングでは3番手となっていますが、専業ファウンドリ(半導体受託製造ビジネスのみを行う会社)では世界2位となるUMC(TWSE: 2303、NYSE: UMC)。

3番手と言いながらも、後述するGlobalFoundries、SMICとは同程度の売上規模になりますので3番手に3社という感じです。

 

これら3社は最大手のTSMCとは異なりレガシープロセスをビジネスの中核としています。

 

 

  • Q1のビジネスハイライト
  • 今後の設備投資動向

についてまとめております。

 

ビジネスハイライト

売上高 YoY +35% / ウエハ出荷数 YoY +5.6%

 

ASP(平均販売価格)改善により、前期比+7.3%、前年同期比+35%のNT$63.4B(US$2.2B)となりました。

200mmウエハ換算でのウエハ出荷枚数は約251万枚で前年同期比+5.6%でした。

前期比では-1.3%。

 

また不揮発性メモリ、パワーマネジメント、RFSOI、有機ELディスプレイドライバ向けの特殊テクノロジーに注力するビジネス戦略に変更した結果、これらがウエハ収益の半分以上を占めるまでに成長しております。

 

 

粗利益 YoY +120% / EPS YoY +90%

 

利益、EPSは前年同期比で倍増しました。

 

  • 粗利益 YoY +120%
  • 営業利益 YoY +193%
  • EPS YoY +90%

 

増収増益の主要因

  • ファブ稼働率100%維持
  • ASP改善

 

今後の設備投資動向

COVID-19や地政学的な問題による市場の変動への懸念を見せつつ、ポジティブな需要見通しは変わらないようです。

また生産能力の拡張を行なっていたFab 12A P5が稼働し始め、これまで満たせなかった28nmの過剰需要に対応できるようになります。

 

UMCのプロセスノード別の売上高占有率推移グラフを見ると、2022年第1四半期時点で22/28nmの売上が全体の20%となっております。

過剰需要となっていたこのプロセスノード帯の生産能力拡張が終わり、今後の売上貢献にてこのプロセスノードの比率が高まっていくと思われます。

 

 

プロセスノード別売上高占有率推移

 

 

一方で海外拠点の生産能力増強も積極的に進めておりますので、そちらについてもまとめました。

 

シンガポール拠点

  • 22/28nmの新ファブ計画
  • 2024年からの複数年の供給契約完了

 

日本拠点

  • デンソーと協業で車載向け300mmファブでのパワー半導体IGBTの生産
  • 現在のIGBT供給不足を補う代替策
  • デンソーが半導体製造装置の設備投資を負担
  • UMCの日本子会社のUSJCがクリーンルームと施設の設備投資を負担

 

スケジュール

  • 2023年: 生産開始
  • 2025年: 月産1万枚の生産規模

 

GlobalFoundries

AMDからスピンオフした会社で、去年末にニューヨーク証券取引所へIPO上場しました。ティッカーシンボルは$GFS。

 

 

  • Q1のビジネスハイライト(会社全体)
  • セグメント別ビジネスハイライト

についてまとめております。

 

ビジネスハイライト

売上高 YoY +37% / ウエハ出荷数 YoY +14%

 

ウエハ出荷数とASPが前年同期比で増加した結果、Q1売上高は前年同期比+37%のUS$1.94Bとなりました。

ガイダンスを上回っております。

 

300mmウエハ換算でのウエハ出荷枚数は約62.5万枚で前年同期比+14%でした。

特にドイツのドレスデン工場では前年同期比+50%のウエハ出荷枚数を記録。

 

ウエハ1枚あたりの平均販売価格は前年同期比+19%。

 

価格上昇の要因として

  • LTA(長期契約)の価格改善
  • 建設的な取引価格環境
  • 製品ミックス改善

を挙げています。

 

セグメント別ビジネスハイライト

 

セグメント別売上高推移

 

 

セグメント別売上高占有率推移

 

 

セグメント別売上高前年同期比成長率

 

 

成長率の高い以下3つセグメントのQ1ビジネスについて振り返っていきます。

  • Communications: 通信インフラ・データセンター
  • IoT: 家庭・産業用IoT
  • Automotive: 自動車

 

 

通信インフラ・データセンター YoY +80%

 

売上の約17%を占める通信インフラ・データセンターは前年同期比+80%の成長を達成しました。

 

通信インフラ、データセンター共に需要が強く、

  • 出荷台数の増加
  • ASPの上昇
  • 製品ミックス改善

が+80%成長の要因となっています。

 

また当四半期に第2世代のシリコンフォトニクスプラットフォームを発表しております。

NVIDIA、Broadcom、Marvell、Ciscoなどの業界大手企業がGlobalFoundriesのシリコンフォトニクスを使用して高性能コンピューティング、高性能ネットワーク、クラウドデータセンター向けの広帯域かつ低消費電力の半導体ICを設計しているとのことです。

さらに量子コンピューティング市場にも拡張されており、アメリカの光量子コンピュータベンチャー企業のPsiQuantum社も本プラットフォームを使用して量子コンピュータを設計・構築しているようです。

 

2022年通年で+50%の成長を見込んでいるとのことで、後述するIoT市場と並んでGlobalFoundriesの主要エンドマーケットになってきそうです。

 

 

家庭・産業用IoT YoY +55%

 

売上の約17%を占める家庭・産業用IoTは前年同期比+55%成長でした。

 

需要の増加、ASPの改善、豊富な製品ミックスに加え、GlobalFoundriesの強みである低消費電力でかつ優れた無線接続性を実現する特殊テクノロジーにより力強い成長を遂げました。

 

この市場は

  • 第6世代のWiFi(WiFi 6)
  • デジタル決済
  • ビルディングオートメーションシステム(BAS、ビル管理・中央監視システム)
  • セキュリティ

によるスマートコネクテッドデバイスの普及により継続的な成長を遂げています。

 

 

自動車 YoY +170%

 

売上の約4%を占める自動車関連は前年同期比+170%の大幅増となりました。

(全四半期でもYoY +187%の非常に力強い成長を達成しています。)

 

この分野は今後の生産能力増強が進むにつれ、加速度的に売上が成長していくと見込まれています。

 

  • 自動車の電動化
  • 電気自動車の生産計画拡大

による堅調な需要が続くとのことです。

 

GlobalFoundriesの強みである特殊テクノロジーが自動車用レーダーシステムやバッテリー管理システム、その他アナログ半導体に採用されています。

 

SMIC

半導体ファウンドリの中国最大手であり、香港証券取引所と上海証券取引所に上場しているSMIC。

 

 

  • Q1のビジネスハイライト
  • Q2のビジネス見通し(中国ロックダウンの影響)

ついてまとめております。

 

ビジネスハイライト

売上高 YoY +67% / ウエハ出荷数 YoY +18%

 

ウエハ出荷数、ASPと製品ミックス改善によりQ1売上高は前年同期比+67%のUS$1.84Bとなりました。

 

200mmウエハ換算でのウエハ出荷枚数は約184万枚で前年同期比+18%でした。

前期比では+6.8%。

 

 

粗利益率 YoY +18.0ppt / 営業利益率 YoY +17.8ppt

 

  • 粗利益: YoY +200.0%
  • 粗利益率: YoY +18.0ppt(22.7% → 40.7%)
  • 営業利益: YoY +330.2%
  • 営業利益率: +17.8ppt(11.3% → 29.1%)

 

粗利益率はガイダンスを上回りました。ガイダンスを上回った理由として中国のロックダウンを挙げており

  • 一部のファブの定期メンテナンス延期
  • 天津と深圳ファブへの影響が予想より小さかった

としています。

 

 

プロセスノード別売上高占有率推移

 

 

今四半期よりプロセスノード別の売上開示を辞め、ウエハサイズ別の売上開示に変更しております。

SMICの決算開示レポートでは以下のよう対応になっているようです

  • 200mmウエハ: 0.35um ~ 0.11um
  • 300mmウエハ: 90nm ~ 14nm FinFET

 

第2四半期ガイダンス

  • 売上高: QoQ +1% ~ +2%
  • 粗利益率: 37% ~ 39%

 

来期の粗利益率は若干低下し、Q1の40.7%から2 ~ 4ppt程度減少の範囲で37 ~ 39%予想となっております。

 

粗利益率低下要因としましては

  • 延期した一部のファブ定期メンテナンスをQ2で実施
  • 現在も継続してる上海ロックダウンの影響

 

特に2点目に関しては上海ロックダウンの影響度が不透明だという旨がカンファレンスコールのQ&Aで述べられていました。いまだにロックダウンの続く上海市に位置する上海ファブのオペレーションがQ2業績へどのぐらい影響するかは、SMIC経営陣の方で逐次見積もりを実施しているようです。

 

まとめ

  • ファウンドリ4社のQ1売上は2022年通年のファウンドリ市場成長率の当初予測を上回った
  • ウエハ出荷数増、ASP上昇や製品ミックス改善により4社ともに売上高YoY +30%以上
  • 特にSMICはYoY +67%
  • TSMCはファウンドリ市場の2022年通年成長率を上方修正
  • TSMC製最先端プロセス「N3」は今年後半に量産開始(スケジュール通り)
  • UMCは過剰需要の28nmプロセスを中心に生産能力拡張中
  • さらにデンソーと協業で車載向け300mmファブでのパワー半導体IGBTの生産
  • 去年赤字から脱却したGFは利益率改善を進める
  • ドイツのドレスデン工場ではYoY +50%のウエハ出荷枚数を記録
  • 中国ロックダウンによるSMICのQ1業績への影響は小さいものとなった
  • ただ、①Q1で延期したファブの定期メンテナンス実施、②未だに続く上海ロックダウンによりQ2ガイダンスは弱気

 

では、この辺で。

拜拜~

【2022CQ1決算】スマホSoC大手2社の業績と今後の見通し《Qualcomm、MediaTek》

スマートフォンSoC大手2社(Qualcomm、MediaTek)の2022年第1暦四半期決算まとめ記事です。 

 

  • 2022年第1暦四半期業績実績
  • 2022年第2暦四半期業績見通し
  • スマートフォン市況

についてまとめています。

 

2022年のスマートフォン世界出荷台数予測は当初の微増から横ばい、もしくは微減に下方修正されました。

(Qualcomm、MediaTek同じ見解)

 

しかしながら、両社の1 ~ 3月期スマートフォンセグメントの売上高成長率は前年同期比で

  • Qualcomm:+56%
  • MediaTek:+28%

と、弱気なスマートフォン出荷台数に反する好決算を叩き出し、今後の業績見通しも悪くはないです。

 

 

スマートフォン向けプロセッサ市場で起きていることとは何なのか?

 

 

そんな半導体デバイス市場の、そしてスマートフォン市場に多大な影響力を持つファブレス半導体大手2社、QualcommとMediaTekの決算カンファレンスコールを読み解いていきたいと思います。

 

 

2022年第1暦四半期業績

Qualcommは9月決算、MediaTekは12月決算ですので、1 ~ 3月期決算は

  • Qualcomm → FQ2
  • MediaTek → Q1

となっております。

 

Qualcomm

 

  2022FQ2 QoQ YoY
売上高 11,158 +4.3% +40.7%
EBT 4,255 -1.2% +68.4%
EPS 3.21 -0.6% +68.9%

全てNon-GAAP

売上高・EBT単位:US$ in Millions

EPS単位:US$

 

 

MediaTek

 

  2022Q1 QoQ YoY
売上高 1,427 +10.9% +32.1%
粗利益 718 +12.5% +47.9%
営業利益 365 +22.7% +80.5%
EPS 21.02 +10.7% +29.7%

売上高・粗利益・営業利益単位:NT$億

EPS単位:NT$

 

売上高成長率推移

 

Qualcomm

 

 

MediaTek

 

 

利益率推移

 

 

  • Qualcomm:QCT部門のEBTマージン
  • MediaTek:営業利益率

 

Qualcomm

ファブレス半導体企業売上高ランキング1位のQualcomm(NASDAQ: QCOM)

 

FQ2業績ハイライト

売上高

  • US$11.2B
  • YoY +41%

 

EPS (Non-GAAP)

  • US$3.21
  • YoY +61%

 

売上高とEPS、共にガイダンスの上限を上回り、過去最高を記録しました。

 

部門別業績

 

  2022FQ2 QoQ YoY
Q
C
T

売上高 9,548 +% +52%
EBT 3,340 +% +111%
EBTマージン 35% ppt +10ppt
Q
T
L

売上高 1,580 +% -2%
EBT 1,154 +% -3%
EBTマージン 73% ppt -1ppt

単位(%、ppt以外):US$ in Millions

EBT:税引前利益(Earnings Before Taxes)

 

Qualcommの事業は

  • 半導体チップセット部門(QCL: Qualcomm CDMA Technologies)
  • 知的財産・ライセンス部門(QTL: Qualcomm Technology Licensing)

から成ります。

 

売上規模はQCT部門が大きいですが、QTL部門は特許料からなるビジネスのため利益率が高いのが特徴です。

 

QCT部門

売上高 US$9.5B / YoY +52%

 

  • 過去最高益
  • 自動車用設計の受注は現在US$16B超
  • 前期比でUS$3B以上増加
  • RFフロントエンドの売上高YoY +28%
  • 携帯端末の売上高YoY +56%

 

QCT部門アプリケーション別売上高推移

 

 

QCT部門アプリケーション別別売上高占有率推移

 

 

 

EBT US$3.3B / YoY +111%

 

  • 過去最高を記録
  • 前年同期比で倍増
  • EBTマージンはガイダンスを上回る
  • 前年同期比+10ポイント

 

QCT部門(携帯端末)

売上高 US$6.3B / YoY +56%

 

SamsungやXiaomi、Oppo、Vivoといった大手スマホOEMとの継続的なビジネスにより過去最高の売上高を達成しました。

 

主要因

  • プレミアム端末の販売台数増加
  • 供給環境改善

 

特に、Samsungの旗艦機Galaxy S22でのシェア拡大が大きかったようです。

 

Samsungの最新フラグシップスマートフォン「Galaxy S22」では2種類のプロセッサを販売地域によって使い分けて搭載しています。

  • Samsung自社製のExynos
  • QualcommのSnapdragon

 

前機のS21では40%、Qualcommのプロセッサが搭載されていましたが、最新機のS22では75%に搭載シェア拡大したとのことです。

 

QCT部門(RFフロントエンド)

売上高 US$1.2B / YoY +28%

 

主要OEM企業におけるQualcomm製品の採用増加がありました。

 

QCT部門(IoT)

売上高 US$1.7B / YoY +61%

 

  • コンシューマ
  • エッジ・ネットワーキング
  • インダストリアル(産業)

の3つのカテゴリー全てが力強い成長を遂げました。

 

中でも産業向けIoTは、①接続性と②エッジでの高度な処理、の両方に対する需要により他のカテゴリーに比べて成長率が高かったようです。

 

特に今日のwithコロナ時代において、倉庫、物流、ヘルスケア、さらにロボティクス・プラットフォームに対する需要の加速が著しいとのことです。

 

QCT部門(自動車)

売上高 US$0.339B / YoY +41%

 

自動車セグメントは過去最高の売上高を記録しました。

 

Snapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)採用による設計受注がUS$16Bを越えており、今後の売上計上に期待できます。

 

Snapdragon Digital Chassisは、テレマティクスや通信、デジタルコックピット、先進運転支援システム(ADAS)といった各種機能を提供するデジタルプラットフォームのことです。

テレマティクスは、Telecommunication(通信)とInformatics(情報科学)を組み合わせた造語です。インターネットを使っやリアルタイムな情報サービスを提供することをテレマティクスと言います。

 

 

車載ビジネス展望①:Arriver買収による競争力強化

 

今四半期に、スウェーデンの自動車部品会社ヴィオニアの自動運転システムソフトウエア開発部門「Arriver(アーリバー)」の買収が完了しました。

Arriver買収により自動車メーカーやTier-1サプライヤーに対して競争力のあるADASソリューションの提供能力強化を図るとのことです。

 

 

車載ビジネス展望②:大手自動車メーカーBMWやStellantisとの長期の技術連携

 

  • BMWの自動運転ソフトウェアをSnapdragon Ride Platformに拡張
  • 他の自動車メーカーへの提供を示唆
  • Stellantis社の14の自動車ブランドにSnapdragon Automotive Cockpit Platform搭載予定

 

QTL部門

売上高 US$1.6B / EBTマージン 73%

 

  • ガイダンスの中間値を上回る
  • 低位ユニットが若干減少
  • 製品ミックス好転

 

スマートフォンの販売台数減少がライセンス収入に影響を及ぼしていますが、製品ミックス強化により相殺され、成長率ほぼ横ばい(厳密には微減)となっています。

 

MediaTek

スマホSoCの出荷数でQualcommを上回りNo.1となったMediaTek(TWSE: 2454)

 

2022Q1業績ハイライト

売上高 NT$142,7B QoQ +10.9% / YoY +32.1%

 

  • ガイダンスを上回る
  • 3部門全てプラス成長を達成(後述)

 

 

粗利益率 50.3% QoQ +0.7ppt / YoY +5.4ppt

 

フラグシップSoC(Dimensity 9000シリーズ)市場投入によるプロダクトミックス改善により利益率が改善しました。

 

今四半期にて粗利益率50%越えを達成しましたが、今後はコスト増の影響を受けて49%をガイダンスとしています。

 

 

事業別売上高

 

  2022Q1 QoQ YoY
モバイルフォン 76.5 +13% +28%
スマートエッジ
プラットフォーム
55.7 +7% +35%
パワーIC 11.4 +21% +52%

単位(%、ppt以外):NT$ Billions

 

 

事業別売上高推移

 

 

事業別売上高占有率推移

 

 

今四半期より報告セグメントが変更されており

 

変更前

  • モバイルフォン
  • IoT / コンピューティング
  • スマートホーム
  • パワーIC

 

変更後

  • モバイルフォン
  • スマートエッジプラットフォーム
  • パワーIC

となっております。

 

モバイルフォン事業

MediaTekの売上全体の半分以上を占めるコア事業です。

3G/4G/5Gスマートフォン及びフィーチャーフォンがエンドプロダクトになります。

 

 

売上高成長率 QoQ +13% / YoY +28%

 

売上高プラス成長要因

  • 5Gスマートフォンの出荷台数増加
  • フラッグシップ向けのSoC市場投入
  • 4Gのグローバル市場シェアをさらに拡大

 

スマートエッジプラットフォーム事業

MediaTekの売上全体の約4割を占めるモバイルフォン事業の次に大きい事業になります。

 

  • 有線・無線通信機器
  • スマート家電(TV、スピーカー等)
  • Arm-CPU搭載PC
  • IoT

などがエンドプロダクトになってきます。

 

 

売上高成長率 QoQ +7% / YoY +35%

 

市場ハイライト

  • Wi-Fi 6への移行
  • テレビやタブレットなどの製品がハイエンドソリューションへ移行

 

本市場もスマートフォン同様に成長軟化が指摘されていますが、ハイエンドソリューションへの移行トレンドがASP(平均販売価格)上昇と収益の成長性を後押しするようです。

 

パワーIC事業

売上高成長率 QoQ +21% / YoY +52%

 

MediaTekの売上高全体の10%弱を占める本事業ですが、今四半期は他の事業に比べて非常に高い成長率を達成しました。

 

  • 5GやWi-Fi 6への移行

及び

  • 車載用急速充電器
  • 産業機器

市場の急速な成長によって、パワーICソリューションの需要が堅調に推移しました。

 

スマートフォン市況

スマートフォン市場は需要がやや軟化していることもあり、2022年の世界出荷台数は2021年比で横ばいの約13.5億台になると見込まれています。ただ5G対応スマートフォンに限って言えば、2022年は前年比で30%増加の約6.6億 ~ 6.8億台予測のようです。

 

上記予測を踏まえた上で

  • 中国のロックダウン影響
  • 予測出荷台数マイナス成長 vs 好業績

についてまとめました。

 

中国のロックダウン影響

中国のロックダウンにより下位機種の出荷台数が若干減少しました。

(次四半期(4 ~ 6月期)には台数の回復を見込んでいるようです。)

 

しかしながら

  • 携帯電話端末の世界販売台数における中国の割合は20%
  • プレミアム及びハイエンド機種の需要は依然として強い

によりQualcommやMediaTekへの影響は小さかったとしています。

 

特にQualcomm製Snapdragonシリーズはハイエンドスマートフォンの代名詞となっており、SamsungのGalaxy S22でのシェア拡大も相まって前年同期比56%増と大幅増収しました。

 

プレミアム及びハイエンド参入数年を迎えたMediaTekも5Gスマートフォン市場で徐々にシェア拡大しております。Qualcomm程ではないですが前年同期比30%増とスマートフォン需要減速が囁かれる中で十分と言える結果を残しました。

 

5G SoCは高い

プレミアム及びハイエンドスマートフォン、とりわけ5G対応機種になると半導体IC側に要求される性能も格段にアップします。

 

さらにスマートフォンOEM同士の競争激化も加わって

  • CPU
  • GPU
  • AI
  • オーディオ
  • ビデオ
  • セキュリティ

等々のスマートフォンユーザーが体験できる分かり易い性能が半導体IC側への要求激化に繋がってきます。

 

こうなってくると単体の半導体チップセットに搭載されるシリコンの量(もしくはシリコンコンテンツ)が増え、結果として価格的にも性能的にもリッチなSoCが出来上がり、それがそのまま業績となって現れています。

 

5G対応SoCの販売価格が高い原因はサプライチェーン逼迫によるものではなく、シリコンコンテンツ増加によるものとされていることから、今後すぐに価格が下がっていくことは難しいと思われます。

 

2022年第2暦四半期ガイダンス

 

Qualcomm

 

  Q3FY22
(予測)
Q2FY22
(実績)
Q3FY21
(実績)
売上高 10.5 ~ 11.3
QoQ -6.2% ~ +0.9%
YoY +31.3% ~ +41.3%
11.2 8.0
EPS 2.75 ~ 2.95 3.21 1.92
Q
C
T

売上高 9.1 ~ 9.6
QoQ -4.7% ~ +0.5%
YoY +40.6% ~ +48.4%
9.55 6.47
EBT
マージン
31% ~ 33% 35% 28%
Q
T
L

売上高 1.4 ~ 1.6
QoQ -11.4% ~ +1.3%
YoY -6.0% ~ +7.4%
1.58 1.49
EBT
マージン
69% ~ 73% 73% 71%

売上高単位:US$ in Billions

EPS:Non-GAAPベース

 

 

QTL

中国におけるCOVID-19関連の影響がFQ3までに終了するものと仮定した場合の数値

 

 

QCT

  • IoT/自動車:前期比で一桁台半ばの増収
  • 携帯端末/RFフロントエンド:季節性により前期比で減収

 

MediaTek

 

  22Q2
(予測)
22Q1
(実績)
21Q2
(実績)
売上高 147 ~ 157
QoQ +3% ~ +10%
YoY +17% ~ +25%
142.7 125.7
粗利益率 47.8% ~ 50.5% 50.3% 46.2%
営業利益率 22% ~ 26% 25.6% 22.9%

売上高単位:NT$ in Billions

想定為替レート:US$1 = NT$28.5

 

  • 3つの事業全てで前年同期比プラス成長見込み
  • モバイルフォン事業のフラッグシップモデル(Dimensity 9000シリーズ)及びハイエンドモデル(Dimensity 8000シリーズ)が好調に推移
  • 4G/5G需要やWi-Fiビジネスの成長が堅調

 

まとめ

  • Qualcommの携帯端末部門の売上高成長率 YoY +56%
  • MediaTek:YoY +28%
  • 主要因:プレミアム端末の販売台数増加
  • Samsung Galaxy S22のシェア拡大の寄与大きい(Qualcomm)
  • 5G対応SoCは販売価格が高いため出荷量が停滞しても増収を見込める
  • Qualcommは今後供給量が回復してくるため5G市場シェア争い激化
  • IoT市場はwithコロナ時代の需要と相性が良く、市場成長が著しい
  • キーワードは倉庫、物流、ヘルスケア、ロボティクスプラットフォーム
  • 移動通信分野は5G及びWi-Fi 6への移行が販売価格上昇と収益の成長性を後押し

 

では、この辺で。

拜拜~

米国半導体株2022Q1決算"たいかぶ的"注目ポイント

どもども、たいかぶ(@taikabu0)です。

 

Q1決算シーズン始まりました。

 

先週半導体ファウンドリ世界最大手TSMC(TWSE: 2330、NYSE: TSM)のQ1決算が行われました。

TSMCのQ1売上はスマートフォン需要の季節性により例年落ち込む傾向にあるのですが今四半期は前期比+11.6%とかなり良い数字でした。

 

TSMCのQ1決算に関しては半導体の中の人さん(@Anago_in_EU)が丁寧に解説しております(以下、リンク)。

 

analog-handoutai.net

 

TSMCのQ1売上前期比プラス成長の結果、及び私が日頃からチェックしている業界の最新動向を基に半導体セクターのQ1決算着目ポイントについて簡単にまとめました。

 

更新履歴

  • 2022年4月23日:サムネイル更新

 

 

決算スケジュール

 

企業名 ティッカー
シンボル
決算日
ASML $ASML 4/20
Lam Research $LRCX 4/20
Teradyne $TER 4/26
Texas Instruments $TXN 4/26
Qualcomm $QCOM 4/27
UMC $UMC 4/27
ASE $ASX 4/28
Apple $AAPL 5/28
Intel $INTC 4/28
KLA $KLAC 4/28
Amkor $AMKR 5/2
AMD $AMD 5/3
GlobalFoundries $GFS 5/10
Applied Materials $AMAT 5/19
Nvidia $NVDA 5/25

決算日は現地日時

 

ファブレス・IDM

関連銘柄

  • Apple
  • AMD
  • Intel
  • Micron
  • Nvidia
  • Qualcomm

 

記事投稿時点でMicronのFQ2決算(12 ~ 2月期)は既に終了

それとAppleは専業半導体メーカーではないですが、後述するスマホ受給に関係しているので追加させていただきました。

 

スマートフォン:上海ロックダウン

スマートフォンは半導体デバイス市場における非常に大きなアプリケーション先であります。故にスマートフォン市況が半導体業界全体の需給バランスに与える影響は小さくはないです。

 

TSMCのQ1業績、MediaTekの1 ~ 3月の売上高を見ると、上海ロックダウンの影響を少なからず受けていそうです。

 

  • オーダーの前倒しが発生?
  • さらに前倒しによる2022年後半売上への影響の有無

 

以下のニュースも踏まえて注視しておきたいです。

 

www.emsodm.com

 

ハイパースケールDC:スマホ・PCの鈍化をカバー?

ハイパースケールDC(データセンター)の動向も目が離せません。

 

特にTSMCの最新のアプリケーション別売上高ではHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)がスマホセグメントを上回ったことが確認できます。

(TSMCのHPCセグメントはデータセンター用途以外のハイエンド半導体も含まれています。)

 

向こう数年間はハイパースケールデータセンターの増設ラッシュと言われていますのでハイエンド用途の半導体IC設計を手掛ける

  • CPU: AMD, Intel
  • GPU: Nvidia
  • メモリ: Micron
  • インフラストラクチャ: Marvell

の決算カンファレンスコールでのデータセンター市況見通しは注視しておきたいです。

 

前工程製造

関連銘柄

  • TSMC
  • UMC
  • GlobalFoundries

 

記事投稿時点でTSMCのQ1決算(1 ~ 3月期)は既に終了

 

先端プロセスへの投資・開発状況

成熟プロセスをコアビジネスとしているUMCとGlobalFoundiesにとって2020、2021年は利益率が大きく改善した年になりました。

 

Q4決算カンファレンスコールでは先端プロセスへの投資、及び開発状況についてアナリストより質疑があったこと、そしてCOVID-19による半導体特需がひと段落しつつあることを考えると、ここ2年間で大きく儲けたお金の次の向かう場所についてはアンテナを張っておく必要があります。

 

後工程製造・車載IDM

関連銘柄

  • Amkor
  • ASE
  • Microchip
  • Texas Instruments

 

IDM→OSATへのアウトソーシング

ファウンドリやOSATのような受託製造企業は基本的にファブレス企業を相手にビジネスをしているわけですが、昨今のCOVID-19を発端にしたサプライチェーンの乱れが後押しする形でIDM(垂直統合型デバイスメーカー)からこれら受託製造企業へのアウトソーシング比率の加速予兆が示唆されています。

ASE 202Q1決算レビューより)

 

 

一方で一部のIDMが公表している長期計画を見ると逆のトレンドのようにも感じられます。

 

 

― 2021 Investor & Analyst Day - Microchip Technology より

 

 

 

― Capital management review - Texas Instruments より

 

 

サプライチェーンの乱れによる一時的なトレンドと考えるのが自然だと思いますが、ASE、AmkorのようなOSAT企業の業績アップサイドに繋がってくるのでこちらの動向については観察しておく必要があります。

 

ASEの2021Q4決算レビュー記事に詳細を記載しておりますので、ご興味あればご覧下さい。

 

taikabu.com

 

製造装置

関連銘柄

  • Applied Materials
  • ASML
  • KLA
  • Lam Research
  • Teradyne

 

サプライチェーンの制約

去年の決算カンファレンスコールで

  • COVID-19、貨物・物流オペレーションによる混乱
  • 熟練労働者不足の深刻化

による供給面での課題を指摘する装置メーカーの声が印象的でした。

単独供給による部品など、特定コンポーネントの大幅不足が続いているようです。

 

 

半導体足りない→装置増やしたい→装置に使う半導体が足りない→(ループ)

 

みたいな負のスパイラルに陥っているようですのでこちらに関しても注目していきたいです。

 

装置銘柄の2021Q4決算については以前のまとめ記事をご覧下さい。

 

taikabu.com

 

まとめ

  • ファブレス・IDM:上海ロックダウン、ハイパースケールデータセンター
  • 前工程製造:先端プロセスへの投資・開発状況
  • 後工程製造・車載IDM:IDM→OSATへのアウトソーシング
  • 製造装置:サプライチェーンの制約

 

では、この辺で。

拜拜~

半導体専業ファウンドリ大手4社の2021年業績振り返り《TSMC、UMC、GlobalFoundries、SMIC》

半導体専業ファウンドリ大手4社(TSMC、UMC、GlobalFoundries、SMIC)の2021年第4四半期決算が出揃いましたので各社2021年通年の業績を振り返っていきます。

 

この記事は半導体専業ファウンドリ大手4社の

  • 2021年通年業績
  • 2021年ビジネスハイライト

についてまとめています。

 

 

2021年前半時点で業界最大手であるTSMCの製造ラインは2022年末まで予約が埋まっているという報道があり、さらに強い市場需要を背景に台湾ファウンドリ勢は度重なる値上げを実施しました。

 

TSMCと比較して利益率の低い水準にあったUMC、GlobalFoundries、SMICの3社にとっては利益率が大きく改善した1年になりました。

 

特に赤字の続いていたGlobalFoundiesは黒字転換し、そして去年ニューヨーク証券取引所にIPO上場しました。

 

そして今週から2022年第1四半期決算シーズンが始まり、木曜には半導体ファウンドリ最大手TSMCのQ1決算があります。

 

半導体メモリ大手MicronのFQ3決算では、中国ロックダウンの影響もあったせいか、PC、スマホの需要減速を指摘していました。

 

本記事を読んで2021年の各社業績を頭に入れておくと、2022年第1四半期決算カンファレンスコールにすんなり入っていけると思います。

 

更新履歴

  • 2022年4月23日:サムネイル更新

 

 

2021年業績

売上高

 

  Q1 Q2 Q3 Q4 通年
TSMC 3,624
QoQ +0.3%
YoY +16.7%
3,722
QoQ +2.7%
YoY +19.8%
4,147
QoQ +11.4%
YoY +16.4%
4,382
QoQ +5.7%
YoY +21.2%
15,874

YoY +18.5%
UMC 471
QoQ +4.0%
YoY +11.4%
509
QoQ +8.1%
YoY +14.7%
559
QoQ +9.8%
YoY +24.6%
591
QoQ +5.7%
YoY +30.5%
2,130

YoY +20.5%
GF 1,418
QoQ +33.5%
YoY +2.8%
1,620
QoQ +14.3%
YoY +22.9%
1,700
QoQ +4.9%
YoY +55.8%
1,847
QoQ +8.7%
YoY +73.9%
6,585

YoY +35.7%
SMIC 1,104
QoQ +12.5%
YoY +22.0%
1,344
QoQ +21.8%
YoY +43.2%
1,415
QoQ +5.3%
YoY +30.7%
1,580
QoQ +11.6%
YoY +61.1%
5,443

YoY +39.3%

売上高単位:TSMC・UMCはNT$億、GF・SMICはUS$M

 

 

以下、過去3年間の売上高成長率推移を示したグラフになります。

 

f:id:yu-money:20220409131953p:plain

 

粗利益・粗利益率

 

  Q1 Q2 Q3 Q4 通年
TSMC 1,898
QoQ -2.8%
YoY +18.0%
1,862
QoQ -1.9%
YoY +13.1%
2,128
QoQ +14.3%
YoY +11.7%
2,308
QoQ +8.5%
YoY +18.2%
8,195

YoY +15.2%
UMC 125
QoQ +15.1%
YoY +53.8%
159
QoQ +27.4%
YoY +55.1%
205
QoQ +29.0%
YoY +110.3%
231
QoQ +12.5%
YoY +112.9%
721

YoY +84.8%
GF 99
QoQ --
YoY --
267
QoQ +169.7%
YoY --
300
QoQ +12.4%
YoY +329%
385
QoQ +28.0%
YoY +276%
1,013

YoY +242%
SMIC 250
QoQ +41.5%
YoY +7.1%
405
QoQ +61.9%
YoY +62.9%
468
QoQ +15.5%
YoY +78.6%
553
QoQ +18.1%
YoY +212.7%
1,676

YoY +82.0%

粗利益単位:TSMC・UMCはNT$億、GF・SMICはUS$M

GFのQ1 QoQ/YoYとQ2のYoYは対象の前年データがないので未記載

 

 

以下、過去3年間の粗利益率推移になります。

 

f:id:yu-money:20220409131935p:plain

 

営業利益・営業利益率

 

  Q1 Q2 Q3 Q4 通年
TSMC 1,505
QoQ -4.2%
YoY +17.1%
1,457
QoQ -3.2%
YoY +11.1%
1,710
QoQ +17.4%
YoY +14.0%
1,828
QoQ +6.9%
YoY +16.3%
6,499

YoY +14.7%
UMC 76
QoQ +35.7%
YoY +123.3%
113
QoQ +48.4%
YoY +93.5%
151
QoQ +33.9%
YoY +112.3%
176
QoQ +16.4%
YoY +213.8%
517

YoY +134.9%
GF (95)
QoQ +80.7%
YoY +76.5%
41
QoQ +143.2%
YoY +110.0%
81
QoQ +97.6%
YoY +123.1%
142
QoQ +75.3%
YoY +128.9%
168

YoY +2.6%
SMIC 125
QoQ +624.4%
YoY +163.4%
538
QoQ +331.6%
YoY +731.2%
310
QoQ -42.4%
YoY +69.7%
420
QoQ +35.5%
YoY +2,342.4%
1,393

YoY +346.5%

営業利益単位:TSMC・UMCはNT$億、GF・SMICはUS$M

 

 

以下、過去3年間の営業利益率推移になります。

 

f:id:yu-money:20220409131944p:plain

 

EPS

 

  Q1 Q2 Q3 Q4 通年
TSMC 5.39
QoQ -2.2%
YoY +19.5%
5.18
QoQ -3.9%
YoY +11.2%
6.03
QoQ +16.1%
YoY +13.8%
6.41
QoQ +6.3%
YoY +16.3%
23.01

YoY +15.2%
UMC 0.85
QoQ -7.6%
YoY +347.4%
0.98
QoQ +15.3%
YoY +78.2%
1.43
QoQ +68.2%
YoY +90.7%
1.30
QoQ -9.1%
YoY +41.3%
4.57

YoY +88.8%
GF (0.25)
QoQ +76.2%
YoY +57.6%
(0.06)
QoQ +76.0%
YoY +87.2%
0.07
QoQ +216.7%
YoY +112.1%
0.18
QoQ +157.1%
YoY +117.1%
(0.05)

YoY +81%
SMIC 0.02
QoQ -33.3%
YoY +100.0%
0.09
QoQ +350.0%
YoY +350.0%
0.04
QoQ -55.6%
YoY +33.3%
0.07
QoQ +75.0%
YoY +133.3%
0.22

YoY +144.4%

EPS単位:TSMC・UMCはNT$、GF・SMICはUS$

 

2021年ビジネス振り返り

 

TSMC

半導体ファウンドリ世界最大手のTSMC(TWSE: 2330、NYSE: TSM)。

 

プロセスノード別売上高推移

 

f:id:yu-money:20220409135411p:plain

 

プロセスノード別売上高占有率推移

 

f:id:yu-money:20220409135402p:plain

 

  • 2021年第4四半期の売上高に占める5nm、7nmの割合はそれぞれ23%、27%
  • 5/7nmから成る最先端テクノロジーの売上高比率が50%を占める
  • 2021年通年では19%、31%

 

TSMC製5nmプロセス(N5)は現時点における世界最高のPPA(Performance, Power and Area)を提供する最先端テクノロジーで、立ち上げから3年目を迎えたN5の売上高は単調に増加しています。

 

スマホ、HPC(High Performance Computing)からの引き合いが強く、次世代テクノロジーであるN4P、N4Xを含めたN5ファミリーはTSMCにおける息の長いビジネスとなるようです。

 

 

また2021年は自動車向けIC不足の対策に活動的に取り組んだ一年でした。

 

取り組み内容及び成果を以下にまとめました。

  • 状況に応じて製造キャパを再配置 → 自動車向けMCU(マイコン)を多く製造
  • 2021年上半期は2020年上半期比で+30%
  • 2021年通年では前年比+51%
  • パンデミック前の2018年との比較では+30%
  • TSMCを利用する顧客の車載向けIC不足は徐々に軽減

 

UMC

半導体ファウンドリ2021年売上高ランキングでは3番手となっていますが、専業ファウンドリ(半導体受託製造ビジネスのみを行う会社)では世界2位となるUMC(TWSE: 2303、NYSE: UMC)。

3番手と言いながらも、後述するGlobalFoundries、SMICとは同程度の売上規模になりますので3番手に3社という感じです。

 

これら3社は上位のTSMCとSamsungとは異なりレガシープロセスをビジネスの中核としています。

 

プロセスノード別売上高推移

 

f:id:yu-money:20220409135435p:plain

 

プロセスノード別売上高占有率推移

 

f:id:yu-money:20220409135425p:plain

 

  • 2021年第4四半期の売上に占める22/28nmの割合は20%
  • 28nmの2021年売上高成長率は+75%
  • 40nm以下が38%を占める
  • 2021年通年では22/28nmの収益は20%

 

2021年通年売上高は前年比で20.5%増加しました(2021年売上高一覧表参照)。

 

28nmプロセスの2021年通年売上高は前年比+75%と記録し、ウエハASP(平均販売価格)全体を強化し、5G、AIoT、及び自動車のメガトレンドに関連する力強いチップ需要を示しています。

 

 

2021年通年粗利益率 YoY +11.7ppt / 営業利益率 YoY +11.8ppt

 

  • 2021年通年粗利益:YoY +84.8%
  • 粗利益率:22.1% → 33.8%へ改善(+11.7ppt)
  • 2021年通年営業利益:YoY +134.9%
  • 営業利益率:12.5% → 24.3%へ改善(+11.8ppt)

 

2021年は2020年に続き利益率が大きく改善した一年となりました(粗・営業利益率推移グラフ参照)。

特に、28nmプロセスからの収益急増が営業利益の大幅増加に貢献したようです。

 

GlobalFoundries

AMDからスピンオフした会社で、去年末にニューヨーク証券取引所へIPO上場しました。ティッカーシンボルは$GFS。

 

 

2021Q4売上高 QoQ +8.7% / YoY +73.9%

 

収益性改善の主要因

  • ウエハ生産量の増加
  • ASP(平均販売価格)の上昇
  • ウエハ以外の収益増加

 

Q4でのウエハ出荷枚数は約622,300枚で、QoQ +2%

ウエハ1枚あたりの平均価格はQoQ +3%

価格上昇の要因として

  • LTA(長期契約)の価格上昇
  • 全体的に非常に建設的な取引価格環境
  • 製品ミックスの改善

を挙げていました。

 

プロセスノード別売上構成は公表されておりませんでしたので、前年比売上高成長率の最も高かった自動車向けビジネスについて振り返りたいと思います。

 

2021年通年の自動車向け売上高 YoY +187%

 

GlobalFoundriesの自動車向けビジネスは売上全体の約5%(2021年実績ベース)で、売上の半分を占めるモバイルデバイスビジネスに対して小さいビジネスですが、2021年に前年比で187%増となりました。

モバイルデバイスビジネスは前年比+38%でした。

 

過去数年に渡って進めてきたADAS、安全アプリケーション、インフォテインメント向けの新規設計が増加したことに起因しているようです。

フォード、BMW、ボッシュとのパートナーシップ発表も重要なイベントだったと思います。

 

さらに4DレーダーやEV用バッテリーマネジメント分野で複数の顧客が2023年中の立ち上げを計画しているようです。

 

SMIC

半導体ファウンドリの中国最大手であり、香港証券取引所と上海証券取引所に上場しているSMIC。

 

プロセスノードポートフォリオはUMCと似ており、レガシープロセスをコア収入としています。

 

プロセスノード別売上高推移

 

f:id:yu-money:20220409135505p:plain

 

プロセスノード別売上高占有率推移

 

f:id:yu-money:20220409135455p:plain

 

UMC同様にレガシープロセスをコア収入としていますが、プロセス別売上比率の特徴はUMCと異なります。

 

SMICは

  • 55/65nm
  • 0.15/0.18um

が大部分を占めています。

 

その次に

  • 40/45nm
  • 14/28nm

という感じになっております。

 

プロセスポートフォリオ、会社規模が近いこともあって、売上高成長率や利益率推移も似ています。

 

 

2021年通年粗利益率 YoY +7.2ppt / 営業利益率 YoY +17.6ppt

 

  • 2021年通年粗利益:YoY +30.8%
  • 粗利益率:23.6% → 30.8%へ改善(+7.2ppt)
  • 2021年通年営業利益:YoY +346.5%
  • 営業利益率:8.0% → 25.6%へ改善(+17.6ppt)

 

2021年通年売上高は前年比+39%と大幅増収、そして前述した利益・利益率等の多くの財務諸表が過去最高を記録しました。

 

決算カンファレンスコールでは、「米国政府からエンティティリストに追加されたことがSMICの成長・発展に多大な障害をもたらした」とコメントしつつも、「世界的な半導体不足と自国生産への強い需要にて素晴らしい業績をあげることができた」とまとめていたのが印象的でした。

 

まとめ

  • 強い市場需要を背景に度重なる値上げを実施したファウンドリ各社
  • 立ち上げから3年目を迎えたTSMCの最先端プロセス5nmの売上高は単調に増加
  • 5/7nmから成る最先端テクノロジーの売上高比率は50%となる
  • UMC、GlobalFoundries、SMICの3社にとっては利益率が大きく改善した1年
  • UMCは通年利益率が粗利益・営業利益共に前年比約12ppt上昇
  • SMICは通年粗利益率、営業利益率がそれぞれ前年比で7.2ppt、17.6ppt上昇
  • GlobalFoundiesは黒字転換&IPO上場

 

では、この辺で。

拜拜~